|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第111回学術集会(平成18年6月18日(日))
【一般演題】
子宮体癌2 子宮体癌手術後,CAPDを継続し得た一例
宮国 泰香, 荻島 大貴, 山田 由季, 卜部 麻子, 加塚 有紀, 金田 容秀, 須賀 新, 宮井 健太郎, 寺尾 泰久, 木下 勝之
順天堂大学産婦人科
腹膜透析を施行中の患者の開腹手術は癒着や感染などの問題があり,その継続は困難で,血液透析への移行を余儀なくされることが多い.腹膜透析を施行中に子宮体癌手術を行い,その後も腹膜透析を継続し得た症例を経験したので報告する.症例は48歳,女性.21歳の時に検診にて蛋白尿を指摘され,精査を勧められるも拒否.平成7年腎機能の低下,胸水の貯留,心不全症状を認めた為,CAPDカテーテルを挿入し,腹膜透析にて約9年間管理していた.平成16年3月より不正性器出血を主訴に婦人科を受診.子宮内膜細胞診でclassIIIb,子宮内膜組織診でendometrioid adenocarcinoma G1であった.子宮体癌の診断にて平成16年8月19日拡大子宮全摘術,両側付属器切除術,骨盤リンパ節郭清を施行した.カテーテル先の腹膜は褐色調の変化を認めるものの著明な癒着はなかったためにCAPDカテーテルをそのまま留置した.腹腔内を生食5000mlで洗浄し,後腹膜を閉鎖し手術を終了した.術中麻酔下に右内頚よりアーガイル20GWルーメンを挿入し,術後より血液透析を導入した.病理診断はEndometrioid adenocarcinoma G1,stageIIbであった.術後の追加治療は本人が希望されなかった為,行わなかった.CAPDカテーテルの感染予防のために術後9日目まで抗生物質を使用し,術後20日目にCAPDカテーテルより生食500mlを注入し,開通を確認したとともに洗浄液の培養は陰性であった.術後4週間で腹膜透析を再開し,現在まで継続している.本症例は術中術後の処置によりPD継続が可能であったと思われる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2)
165-165, 2006
|