|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第111回学術集会(平成18年6月18日(日))
【一般演題】
良性卵巣腫瘍 続発性無月経をきたしたインヒビン陽性顆粒膜細胞腫の2例
糸賀 知子, 島貫 洋人, 寺尾 泰久, 菊地 盤, 北出 真理, 武内 裕之, 木下 勝之
順天堂大学産婦人科学教室産婦人科
インヒビンは性索間質系腫瘍から分泌され,FSHの分泌を抑える糖タンパクである.近年,インヒビンが免疫染色で用いられるようになり,摘出標本上での検索も可能になってきた.続発性無月経をきたしたインヒビン陽性の顆粒膜細胞腫の2症例を報告する.〔症例1〕31歳初産婦.主訴:続発性無月経ならびに右卵巣腫瘍.MRI所見:腫瘍はT1,T2でlow intensityを示す7cm充実性腫瘍に,T2で一部high intensityな部分を認めた.LH:12mIU/mL,FSH:0.8mIU/mL,E2:63.9pg/mL,P4:1.4ng/mLとFSHの低下を認めた.性索間質系腫瘍を考え,腹腔鏡下右付属器切除術施行.〔症例2〕33歳2経妊2経産.主訴:続発性無月経ならびに右卵巣腫瘍.MRI所見:T1強調画像,T2強調画像で高信号を示し,壁の一部が不均一に肥厚しそこに造影効果を認める9cm大の多のう胞性卵巣腫瘍を認めた.LH:35.7mIU/mL,FSH:3.95mIU/mL,E2:22pg/mL,P4:0.78ng/mL,とFSHの低下を認めた.MRIにて最終病理診断で,悪性腫瘍が否定できなかったため開腹右付属器切除術施行.症例1,2ともにインヒビン陽性の顆粒膜細胞腫と診断され,両者とも術後に自然月経の発来を認めた.性索間質系腫瘍では,画像診断で充実性パターンを示すため,悪性腫瘍との鑑別が問題になるが,術前の月経の状況やホルモン検査により推定が可能であると思われる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2)
166-166, 2006
|