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第111回学術集会(平成18年6月18日(日))
【一般演題】
良性卵巣腫瘍 エストロゲン産生を示したBrenner腫瘍の1例
薬袋 牧子, 須波 玲, 正田 朋子, 奈良 政敏, 端 晶彦, 平田 修司, 星 和彦
山梨大学産婦人科
Brenner腫瘍は,卵巣原発腫瘍のうち約1%ほどの比較的まれな腫瘍で,通常ホルモン活性はない.今回われわれは,血中エストロゲン高値を呈したBrenner腫瘍を経験したので報告する.【症例】75歳,4経妊3経産.2年前より不正性器出血がみられていたが,放置ていた.下腹部膨満感が出現したため婦人科を受診し,骨盤腔内腫瘤を指摘され精査のため当院紹介となった.初診時,経膣超音波検査にてφ7〜8cm大の充実性の右卵巣腫瘍および軽度の子宮腫大と子宮内膜の肥厚(9mm)を認めた.頚部細胞診;classI,内膜細胞診;classII,腫瘍マーカーはCA 72-4が10.01U/mlと軽度上昇していた他は正常であったが,血中E2は166pg/mlと高値であった.MRI検査では,右卵巣腫瘍は充実性で内部に一部嚢胞状変化を伴い,T2強調像で低信号であるが造影効果をみとめることから,thecoma,granulosa cell tumorまたはBrenner tumourが疑われた.精査後開腹手術を施行し,術中迅速病理にてBrenner tumor(悪性所見なし)との結果を得て,単純子宮全摘と両側附属器切除を行った.術後8日目の血液検査では,E2は10pg/ml以下に低下していた.病理組織検査の結果,右卵巣腫瘍は良性Brenner腫瘍であり,間質にはtheca cell様の細胞が散見された.子宮には腺筋症を認め,内膜は増殖期内膜様であった.本症例のエストロゲン産生部位について免疫組織染色を行ったので,その所見等につき文献的考察を含めて報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2)
167-167, 2006
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