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第111回学術集会(平成18年6月18日(日))
【一般演題】
悪性卵巣腫瘍1 上皮性卵巣癌に発症した血栓塞栓症についての検討
高橋 伸卓, 武隈 宗孝, 山道 玄, 古川 直人, 平嶋 泰之, 山田 義治
静岡県立静岡がんセンター婦人科
【目的】婦人科領域では卵巣癌において血栓塞栓症の発症が多いといわれているが,中でも明細胞腺癌に多いと考えられている.血栓塞栓症は発症部位によっては治療を断念せざるを得ない場合のある重篤な合併症である.今回当院で上皮性卵巣癌に発生した血栓塞栓症について後方視的に検討した. 【方法】2002年10月から2006年1月までに当院で手術を行い上皮性卵巣癌と診断した100例を対象として患者の年齢,臨床進行期,最大腫瘍径,BMI等と血栓塞栓症との関連について検討した. 【成績】組織型の内訳は漿液性嚢胞腺癌45例,明細胞腺癌34例,類内膜腺癌10例,粘液性腺癌3例,その他8例であった.全100症例中,血栓塞栓症を発症したのは9例で臨床進行期は1a〜4期と進行例に多い傾向はなかった.明細胞腺癌と他の上皮性腺癌の2群に分けて検討したところ,9例中7例は明細胞腺癌に発症しており,有意に明細胞腺癌に多かった.(p<0.01:χ二乗検定).また,最大腫瘍径は明細胞腺癌の方が有意に大きかった(平均【cm】13.1 vs 8.7,p<0.001:t検定).年齢,BMIは両群間での差はなかった. 【結論】卵巣癌に合併した血栓塞栓症は有意に明細胞腺癌に多く,腫瘍径の大きさも関連する可能性があることが示唆された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2)
169-169, 2006
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