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第111回学術集会(平成18年6月18日(日))
【一般演題】
悪性卵巣腫瘍1 当院においてNACが施行された進行卵巣癌4期症例の臨床的検討
曽根 国瑞, 有本 貴英, 三浦 紫保, 中村 久基, 高田 恭臣, 豊島 壮介, 川名 敬, 中川 俊介, 大須賀 穣, 八杉 利治, 武谷 雄二
東京大学産婦人科
進行卵巣癌症例において,PCS(primary cytoreductive surgery)に続いて化学療法を行なうことが標準的治療となっているが,performance status不良症例,血栓症等の重篤な合併症を伴う症例では,NAC(neoadjuvant chemotherapy)が選択されることがある.今回我々は1984年から2005年までの進行卵巣癌4期38症例について,PCS施行群,NAC施行群に分けて,NAC選択の理由,optimal status到達度,手術時間,出血量,予後について後方視的に検討した.PCS施行群は30例,NAC施行群は8例で,optimal status到達例が各々17例,6例であった.NAC選択の理由としては,PS3以上が4例,高度の血栓症1例,クモ膜下出血1例,その他2例であった.手術時間(min)は各々325.2±165.8,448.1±251.7,出血量(ml)平均は各々2409.7,1384.1で,Median overall survival timeは,24ヶ月,13ヶ月であり,5年生存率は28.9%,50%であった.NAC施行群は少数であったが,どの項目においてもPCS施行群と統計学的有意差は認められなかった.病変の高度な進行や重篤な合併症の存在により,安全なPrimary cytoreductionが困難と考えられる症例に対し,NACは有用である可能性が示唆される.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2)
170-170, 2006
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