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第111回学術集会(平成18年6月18日(日))
【一般演題】
悪性卵巣腫瘍2 卵巣癌再発後に皮膚筋炎を発症した一例
金 善惠, 佐藤 卓, 加藤 直子, 野村 弘行, 佐藤 健二, 白石 悟
大田原赤十字病院産婦人科
皮膚筋炎の15-20%に悪性腫瘍を合併し,胃,肺,結腸,子宮,乳癌などのほか卵巣癌の合併が多い.皮膚筋炎の診断が先行し,数ヶ月から数年後に悪性腫瘍を発症することが多く,悪性腫瘍が先行する例は稀である.今回われわれは卵巣癌が先行し,再発後に皮膚筋炎を発症した症例を経験したので報告する.63歳女性,卵巣漿液性腺癌IV期にて術後,パクリタキセル・カルボプラチン併用(TJ)療法を6コース行い,complete response(CR)を得た.その後,経過観察中に再発を認め,TJ療法を開始した.2コース目終了後より皮疹が出現し,3コース目終了後に増悪,筋力低下も出現したため精査入院となった.上眼瞼のヘリオトロープ疹や手指のGottron徴候,爪囲紅斑と,近位筋優位の筋力低下を認め,血清CK高値,筋電図の筋原性変化などの所見から皮膚筋炎と診断した.プレドニゾロン(PSL)40mgの内服により症状,検査所見とも改善した.卵巣癌についてはTJ療法3コース後partial response(PR)が得られており,CPT-11・シスプラチン併用療法にて化学療法を続行している.皮膚筋炎の活動性は,合併する悪性腫瘍の病勢に相関することが多く,悪性腫瘍の治療が奏効しなければ皮膚筋炎の寛解は困難である.本症例は卵巣癌が先行し,再発後に皮膚筋炎を発症した稀な症例であり,化学療法が奏効したため,皮膚筋炎のPSLに対する反応性も良好であったと考える.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2)
173-173, 2006
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