|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第111回学術集会(平成18年6月18日(日))
【一般演題】
悪性卵巣腫瘍3 婦人科悪性腫瘍長期管理中に深部静脈血栓症を発症し下大静脈フィルターを留置した2症例
佐川 泰一, 齊藤 俊雄, 大淵 紫, 林 敏, 鈴木 康伸, 清川 尚
船橋市立医療センター産婦人科
深部静脈血栓症は,婦人科では手術,悪性腫瘍やその他の骨盤内腫瘤などに関連して発生しやすく,なかには急性肺血栓塞栓症につながり致命的となることもある.最近では,周術期における管理方法は一般化してきているが,再発癌の状態では積極的に治療をするか悩むことがある.今回,婦人科悪性腫瘍手術後の長期管理中に深部静脈血栓症を併発し,下大静脈フィルターを留置した症例を経験したので報告する. 一例目は,57歳,未経産.平成6年6月子宮体癌の卵巣転移にて手術施行.子宮全摘,両側附属器摘出およびリザーバー留置術をおこなった.術後CAP療法6コース行って経過観察していた.骨盤リンパ節が腫大し,腫瘍マーカーも増大してきたため,化学療法を再開した.下肢浮腫が出現し,超音波検査にて静脈血栓症を認めたため,下大静脈フィルターを挿入し,抗血栓療法を開始した.その後浮腫も軽減し化学療法継続中である. 二例目は,69歳,2経産.平成11年7月卵巣癌の診断にて子宮全摘,両側附属器摘出,大網切除およびリザーバー留置術を施行.TJ療法6コース施行後,骨盤および傍大動脈リンパ節郭清,リザーバー除去術を施行した.TJ療法追加中にカルボプラチンによるアナフィラキシーショックをおこしたため,塩酸イリノテカンに変更して治療中であった.下肢浮腫が出現し,超音波検査にて静脈血栓症を認めたため,下大静脈フィルターを挿入した. 婦人科悪性腫瘍の管理中に浮腫が出現してくると,末期症状としてなす術がないと考えがちであるが,深部静脈血栓症に対しては積極的に下大静脈フィルターを挿入し,抗血栓療法を行うことで予後の改善がはかれるのではないかと考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2)
176-176, 2006
|