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第111回学術集会(平成18年6月18日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩10 妊娠中期の尿蛋白出現の臨床的意義
下村 貴子, 金 成一, 野平 知良, 岡部 一裕
東京医科大学八王子医療センター産婦人科
<目的>妊娠中期に尿蛋白2+となった妊婦の周産期リスク,臨床的意義を検討する.<対象>1998〜2004年に当院で分娩した単胎妊娠3782例の中で,妊婦検診時にテステープで尿蛋白2+以上を指摘された106例を対象とした.蛋白尿の出現時期により,対象を中期より出現した群(I群:25例)と後期より出現した群(II群:81例)に分け,妊娠経過,分娩予後,腎機能の評価,分娩後の蛋白尿の推移を比較・検討した.<結果>妊娠前より腎疾患を指摘されていた症例はI群:11例,II群:25例であった.妊娠高血圧症候群(PE)を合併した症例は16例であったが,蛋白尿出現後にPEを発症した症例はI群:3例,II群:3例であった.分娩週数はI群:35.1±2.9週,II群:37.9±3.8週,出生体重はI群:2320.4±324.4g,II群:2842.6±458.2gであった.尿蛋白量,血清クレアチニン値はそれぞれI群:5672.6±1344.6mg/日,0.22±0.08mg/dl,II群:4240.8±1186.4mg/日,0.18±0.06mg/dlであった.産褥3ヶ月以内に尿蛋白が消失した症例はI群:4例(16.0%),II群:46例(56.8%)であった.妊娠を契機に腎疾患を診断された症例はI群:8例,II群:2例であった.<考察>妊娠中期に尿蛋白強陽性を呈した妊娠では,何らかの腎疾患を合併している可能性が高く,留意を要すると考えられた.一方,PEを合併した症例では,尿蛋白が血圧上昇に先行した症例はむしろ少なく,血圧上昇を伴わない症例では,妊娠予後は必ずしも悪いものではなかった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2)
177-177, 2006
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