妊娠・分娩10　妊娠31週に発症し，腎不全に至った微小変化型ネフローゼ症候群の1症例

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第111回学術集会（平成18年6月18日（日））

【一般演題】
妊娠・分娩10
妊娠31週に発症し，腎不全に至った微小変化型ネフローゼ症候群の1症例

田中　雅子^1）, 松田　秀雄^1）, 川上　裕一^1）, 芝崎　智子^1）, 高橋　宏典^1）, 長谷川　ゆり^1）, 吉田　昌史^1）, 兵頭　尚美^2）, 小原　一葉^3）, 古谷　健一^1）
防衛医科大産婦人科^1）, 防衛医科大第2内科^2）, 防衛医科大病理^3）

　【緒言】妊娠蛋白尿と思われたがその後急性腎不全となり，産後に微小変化型ネフローゼ症候群と診断された症例を経験したので，文献的考察を含め報告する．【症例】33歳，1経妊1経産．既往歴：前回妊娠中毒症の診断で帝王切開．現病歴：前医にて妊健中に経過異常なし．里帰り出産のため妊娠30週0日，当科紹介受診し尿蛋白（3＋）を認めた．血圧は101/62mmHg，そのほか血液検査所見も異常なし．妊娠31週5日，尿蛋白（3＋）に加え，浮腫・乏尿が出現したため緊急入院となった．入院時所見：血圧：118/88mmHg，全身に浮腫を認めた．BUN：36mg/dl，Crea：1.40mg/dl，TP：4.2g/dl，Alb：1.0g/dl．胎児推定体重1907g．羊水量正常．NST：reassuring pattern．入院後経過：翌日にはさらなる腎機能の増悪を認め，急性腎不全の診断にて緊急帝王切開術を施行した．児は男児，2018g，Apgar score1分後9点，5分後10点であった．産後にGFRは改善したが蛋白尿と低蛋白血症が増悪し，産後8日目に腎臓内科に転科した．産後24日目からPSL40mg/dayの投与を開始し症状は改善した．腎生検でMinor glomerular abnormalities with focal glomerulosclerosisの診断を得た．【結論】初診時は尿蛋白のみの異常であったが，短期間で腎機能が悪化し妊娠中断を必要とした．一般的に妊娠蛋白尿は予後良好といわれている．しかし妊娠中に蛋白尿を呈する症例の中には腎疾患の症例も含まれるので鑑別と厳重な経過観察が必要である．

日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2) 178-178, 2006

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