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第111回学術集会(平成18年6月18日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩10 NSAIDsによる肺水腫症例及び尿量への影響に関する検討
小野 義久, 臼井 真由美, 新田 律子, 村山 敬彦, 高井 泰, 斉藤 正博, 長野 浩明, 林 直樹, 関 博之, 馬場 一憲, 竹田 省
埼玉医科大学総合医療センター産婦人科
【緒言】術後の疼痛管理では経口のNSAIDs(非ステロイド性抗炎症剤)が頻用されているが,副作用として尿量減少による肺水腫を合併することがある.今回,当科において術後早期にNSAIDsを使用し,急性腎不全,肺水腫を呈した症例を経験したので報告する.【症例1】37歳 1G1P.前置胎盤にて予定帝王切開術施行.術中大量出血(3600ml)に対して自己血および他家血を輸血したが,尿量減少が持続.ループ利尿薬を投与して利尿を得たが,ロキソプロフェン1錠を内服したところ3時間後より無尿となり,急性腎不全,肺水腫を発症した.ループ利尿薬,塩酸ドパミンを使用し,軽快した.【症例2】52歳 2G2P.子宮頚癌IIIbにて動注化学療法施行後,広汎子宮全摘,両側付属器切除,骨盤リンパ節郭清術を施行.術中出血量は1000ml.輸血を施行して尿量も維持されていた.術後24時間,ロキソプロフェン1錠内服後,無尿が持続し,急性腎不全,肺水腫を呈した.ループ利尿薬により軽快した.【NSAIDsによる尿量減少に関する検討】当科における2005年1〜8月の帝王切開術症例278件の術後疼痛に対するオピオイド使用例は117例(42%),NSAIDs使用例は114例(41%)だった.NSAIDs内服後,経時的に尿量測定を施行した35例を検討したところ,全例で尿量減少を認めた(内服前平均尿量:165.3±98.8ml/h,内服後平均最低尿量:51.8±33.0ml/h).最低尿量となるまでの平均時間は2.2±1.1時間,尿量が回復するまでの平均時間は5.1±2.2時間だった.【結語】術後にNSAIDsを使用し肺水腫を呈した2例を経験した.帝王切開術後のNSAIDs使用により全例で尿量が約1/3に減少した.周術期における安全なNSAIDs使用方法を考察する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2)
179-179, 2006
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