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第111回学術集会(平成18年6月18日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩11 肝機能障害と全身掻痒感で発症したintrahepatic cholestasis of pregnancyの一例
橋場 剛士, 山上 亘, 吉村 泰典
慶應義塾大学医学部産婦人科
妊娠後半期の肝機能障害にはHELLP症候群などの重篤な疾患が含まれるため,速やかに鑑別診断を行う必要がある.妊娠36週にて全身掻痒感と肝機能障害で発症したintrahepatic cholestasis of pregnancy(以下ICP)の症例を発症から寛解するまで観察したので報告する.[症例]35歳,0経妊0経産;[既往歴]30歳時に腹腔鏡下胆嚢摘出術,33歳時に腹腔鏡下卵巣嚢腫切除術:[家族歴]姉が妊娠中にICPを発症し,早産.;[現病歴]挙児希望を主訴に初診し,腹腔鏡下筋腫核出術後,体外受精凍結胚移植を行い妊娠成立した.妊娠35週までは妊娠経過に異常を認めなかったが,36週より著しい全身掻痒感を自覚した.BP 128/81mmHg,尿タンパク(−),末梢血WBC 5,900/mm3,Hb 12.5g/dl,Plt 26.2万/mm3,T.bil 0.9mg/dl,AST 54IU/l,ALT 122IU/l,LDH 356IU/l,HBs抗原(−),HCV抗体(−),HA-IgM抗体(−),サイトメガロウイルス-IgG(+),IgM(−),EBウイルス-IgG(+),IgM(−),抗核抗体(−),抗ミトコンドリア抗体(−)[入院後の経過]37週に帝王切開(筋層内筋腫核出術後)にて,2,802gの女児を娩出した.Apgar score 9点(1分)-10点(5分),児の経過は良好であった.その後母体の全身掻痒感と肝機能障害は速やかに消退した.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2)
179-179, 2006
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