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第111回学術集会(平成18年6月18日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩12 救急蘇生室で緊急帝王切開を施行した1症例
高橋 宏典, 松田 秀雄, 吉田 昌史, 長谷川 ゆり, 田中 雅子, 芝崎 智子, 川上 裕一, 藤井 和之, 古谷 健一
防衛医大産婦人科
【緒言】母体の心肺停止から5分が胎児娩出のgolden timeとされているが,院外で母体心肺停止が発生した際,多くの場合,来院時にはそれ以上の時間が経過している.一方で,来院時,母体心肺停止状態にも関わらず,胎児心拍は認められる症例も存在すると考えられ,その対応に苦慮する.【症例】38歳,2経妊2経産.既往歴に特記すべき事なし.家族歴として,姉が13歳時,運動中に突然の心停止で死亡している.2005年2月17日を最終月経とし,自然妊娠.以後は当院で妊婦健診を行うも,異常は認められなかった.11月16日(妊娠38週6日),午前8時40分頃,作業中,突然意識消失.8時50分,救急隊来院時には心拍停止状態であった.9時12分,当院来院時も心拍停止状態は継続.胎児は超音波上,心拍90程度の徐脈であった.救急蘇生室で緊急帝王切開が施行された.9時27分,2850g男児が娩出された.Apgar scoreは1分後0点,5分後0点であった.新生児は7分後に心拍再開したが,重度の低酸素脳症で,生後46日目に死亡した.一方,母体は心拍再開することなく,死亡した.剖検は希望されなかった.【考察】20分以上母体が心肺停止した症例でも予後良好であった児も報告されており,母体心肺停止時の胎児娩出の是非は一定の見解をみていない.若干の文献的考察を加えて発表する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2)
182-182, 2006
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