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第111回学術集会(平成18年6月18日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩13 カルテと本人照合において相違のあった2症例;緊急時のT&Sによる輸血は安全か?
渕脇 泰介, 佐藤 隆之, 吉澤 恵理
浦安市川市民病院産婦人科
【緒言】カルテ記載事項の信頼性は確実な本人照合が必須である.今回,我々は時を経て受診された患者様において,記載事項が新旧において相違をみた症例を経験したので報告する.なお倫理上,氏名・国籍は略号とした.【症例1】F.P,国籍:P国,x4-P,x2-G,子宮外妊娠手術暦x2(両側卵管切除).1999年1月(23歳),挙児希望であったため,IVFを薦める.同年7月5日,血液型O(+),RPR(+),TPLA(+),夫婦の駆梅療法を施行.2002年4月,ガラス板法<1,TPHA=x1280.2005年9月,既往帝切x2,妊娠13週にて来院,血液型O(+),RPR(−),TPLA(−),外来経過観察中,妊娠29週破水のため周産期センターへ搬送.【症例2】R.M,国籍:C国,x0-P,x0-G,2003年4月(27歳),妊娠12週,血液型=B(+),不規則抗体(−),19週まで健診を行うが,中絶希望にて,中国より取り寄せた堕胎薬を使用したとの事.その後受診なく,2005年3月(29歳)受診,妊娠5週の診断,血液型=O(+),不規則抗体(−),受診状態は良好で,40週1日にて正常分娩にいたる.前回の19週胎児の状態を質問すると「お腹の中で解けてなくなった.少し出血しただけ」との返答であった.【考察】カルテ内容と本人照合は外国人登録証,健康保険証などで行っているが,外国人登録証の写真などをもってしても不確実である.このためT&S(Type&Screening)による緊急輸血が必要な事態に至った場合,本人確認が不確定である場合がありえる以上,医学における理論以上の十分な注意が必要である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2)
184-184, 2006
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