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第111回学術集会(平成18年6月18日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩14 妊娠中に発症した下肢静脈血栓症(DVT)の長期管理例の検討
大森 明澄, 廣瀬 一浩, 清河 翠, 神保 正利, 小林 圭子, 森山 修一
木下会千葉西総合病院産婦人科
症例は34歳3経妊3経産.家族歴,既往歴特になし.現病歴:妊娠3ヶ月,近医にて健診中に左下肢痛と歩行困難のため,X年6月13日に当院整形外科を受診した.腹部および下肢超音波検査にて左DVTを認めたため,循環器内科に依頼され,同日精査加療目的に入院となった.血液凝固系,免疫系検査においてはプロテインSが軽度減少していた以外に異常を認めなかった.直ちにヘパリンナトリウム持続点滴を開始し,APTTを45〜70secでコントロールした.6月13日に当院産科を初診(11週5日)し児発育は良好であった.分娩前にIVCフィルター挿入の方針とし2週間毎の産科検診を行った.その間DVTの変化は認めなかった.12月12日にIVCフィルターを挿入しヘパリン中止とし,14日に分娩誘発し,同日(37週6日)男児2614g,Apgar 9/9を経腟分娩した.19日の診察で産後経過良好であったため,ヘパリンを再開し,IVCフィルターを抜去,ワルファリンカリウム50mgも服用開始したが,頸部挫滅および新たな子宮内血腫による復古不全が生じ,多量の出血を認めたため,21日に抗凝固療法を中止とし,再度IVCフィルターを挿入した.その後出血は軽減し,子宮復古の改善を待ち翌年1月16日にIVCフィルターを抜去,ヘパリン,ワルファリン服用開始し,経過良好にて2月2日に退院となった.本症例がヘパリンによる長期入院管理であったこと,ヘパリンおよびワルファリン投与による産後出血傾向の管理に苦慮したことなどにつき検討し,今後さらに増加するDVT合併妊娠の管理指針作成に役立てたい.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2)
186-186, 2006
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