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第111回学術集会(平成18年6月18日(日))

【一般演題】
妊娠・分娩15
脊髄損傷患者の妊娠分娩例の予後因子に関する検討


古川 敦子1), 高井 泰1), 上山 明美1), 臼井 真由美1), 村山 敬彦1), 末永 昭彦1), 斉藤 正博1), 林 直樹1), 関 博之1), 馬場 一憲1), 竹田 省1)
埼玉医大総合医療センター産婦人科1)


 【緒言】近年,交通事故やスポーツ事故による脊髄損傷発生数は増加傾向にあり,脊髄損傷合併妊娠の数も増加が見込まれる.今回,妊娠経過に伴い自律神経過反射(AH:autonomic hyperreflexia)が増悪し,妊娠を中断せざるをえなかった症例を経験したので,これまでの2例と併せて報告する.【症例1】30歳0G0P.20歳時に転落事故にてTh5/6を損傷し両下肢不全麻痺となった.5週初診.15週から血栓予防のためアスピリン,イコサペント酸エチル内服.リハビリテーション目的にて28週5日管理入院.33週頃より体交時に自律神経過反射症状(発汗,動悸,嘔気,過痙性,呼吸苦など)が徐々に出現し頻度が増加したため,35週5日帝王切開術を施行.硬膜外及び脊椎麻酔を施行したが,術中の腹壁硬直のため児の娩出に苦慮した.術後速やかに自律神経過反射症状は消失.【症例2】27歳0G0P.23歳時に転落事故にてC4/5を損傷し四肢不全麻痺となった.34週2日切迫早産にて管理入院.38週0日前期破水後分娩誘発,無痛分娩とし,怒責不良のため鉗子分娩.【症例3】31歳0G0P.18歳時に交通事故にてTh12/L1を損傷し両下肢麻痺となった.29歳時,左深部静脈血栓症を発症しワーファリン治療を受けていた.8週初診後ヘパリン皮下注に変更.35週6日管理入院.38週4日早期破水後分娩誘発,怒責不良のため鉗子分娩.【結語】脊髄損傷合併妊娠では深部静脈血栓症,尿路感染症,褥創など様々な合併症が生じる.特にAHは生命に関わる重要な合併症であり,その発症・重症化のリスクについて検討を行った.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2) 187-187, 2006


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