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第111回学術集会(平成18年6月18日(日))
【一般演題】
不妊 卵管通過性検査後に発症したPID症例の検討
岡島 毅, 平野 由紀, 島田 和彦, 白石 康子, 東山 信彦, 鈴木 達也, 高見澤 聡, 柴原 浩章, 鈴木 光明
自治医科大学産婦人科
【目的】子宮・卵管の形態や機能異常を的確に診断し治療することは不妊治療上重要である.ところが,子宮卵管造影検査(Hysterosalpingography:HSG)後に骨盤腹膜炎(pelvic inflammatory disease:PID)をきたす症例に遭遇することがあり,今回HSG後のPID発症例について検討した.【方法】2000年1月〜2003年12月に当科不妊外来でHSGを施行した878例を対象に,PIDの発症頻度,患者背景,PID時の症状,検査前性器感染の有無,重症度などを検討した.【結果】1.PID発症頻度は7例(0.8%)であり,年齢平均は28.6±2.3歳であった.2.PID発症患者全例において卵管通過性障害を認めなかった.3.初発症状は全例に腹痛を認め,気分不快,腟周辺の疼痛などであったが,発熱はなかった.発症はHSG後1時間から始まり,最長で10日間症状が持続した症例があった.4.入院加療・手術を要した症例はなかった.治療は抗生剤および鎮痛剤投与で症状の改善を認めた.5.X線(リピオドール)および超音波(レボビスト)による検査後発症は各々3例,4例であった.6.クラミジア感染既往を3例に認めた.腟内細菌検査ではLactobacillus sp.,GBS,MSSA,Candida glabrateを認めた.7.PID発症後不妊治療を継続した2例はいずれもタイミング指導で妊娠成立した.【考察】卵管通過性検査後,約1%にPIDを発症したが,それを予知できるリスクファクターはなかった.従って検査前に十分なインフォームド・コンセントが必要であるといえる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2)
190-190, 2006
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