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第111回学術集会(平成18年6月18日(日))
【一般演題】
悪性腫瘍その他2 境界悪性卵巣腫瘍(表在型乳頭腫)Ic期に対し卵巣温存し一年後に腹腔鏡下生検を行った一例
鈴木 紀雄, 苅部 瑞穂, 御子柴 尚郎, 栗城 亜具里, 近藤 哲郎, 安藤 直子, 小川 公一, 高橋 諄
昭和大学横浜市北部病院産婦人科
表在型境界悪性卵巣腫瘍は画像診断が困難であるため術前診断,術後の観察に苦慮することが多い.今回我々は妊孕能温存を希望する若年例を経験したので報告する.症例は31歳女性.月経困難症のため前医受診.子宮筋腫と右卵巣腫瘍を指摘され紹介.診察にて右卵巣腫瘍と子宮筋腫の診断とした.(第1回手術)子宮筋腫を核出,右傍卵巣腫瘍摘出,左卵巣腫瘍摘出を行った.右卵巣腫瘍と思われた腫瘍は傍卵巣腫瘍であり良性であったが,左卵巣に乳頭状の表在性病変を認め切除したところ,病理検査で境界悪性腫瘍の診断であった.(第2回手術)左卵巣摘出,右卵巣に乳頭状病変を認めたため右卵巣部分切除,リンパ節生検,大網切除,術中超音波を行った.病理検査では左右卵巣に異形細胞の乳頭状増殖を認め,両側境界悪性卵巣腫瘍と診断された.患者は挙児希望があり,リスクを説明し卵巣温存して経過観察を行うこととした.病変が画像検査にはとらえられておらず,1年経過したのちに試験開腹する方針とした.(第3回手術)腹腔鏡による腹腔内観察および右卵巣の生検を行った.腹腔内に病変認めず,念のため数個生検を行ったが新しい病変はなく,これをもって妊娠の許可を行った.現在術後6ヶ月になるが,異常は認めてはおらず経過観察中である.表在性卵巣境界悪性腫瘍は画像診断で診断ができず,経過観察が非常に困難であったため妊娠の許可をするため腹腔鏡による観察を行った.同様の症例はほとんど報告がなく非常に取り扱いが難しいされる症例と思われたため今回報告を行った.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2)
194-194, 2006
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