|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第111回学術集会(平成18年6月18日(日))
【一般演題】
悪性腫瘍その他3 UAEにより止血し得た子宮頸部筋腫に伴う大量性器出血の一例
黒田 恵司, 島貫 洋人, 熊切 順, 北野 孝満, 須賀 新, 卜部 麻子, 武内 裕之, 木下 勝之
順天堂病院産婦人科
子宮頸管内に突出する子宮頸部筋腫は,時に止血しがたい大量の性器出血の原因になることがあり,治療法に苦慮することが少なくない.当初,子宮出血の止血法に使用されていたuterine artery embolization(UAE)は,近年子宮筋腫の保存療法に応用されている.症例は48歳,未経産婦.2001年から健診で貧血を指摘されていたが,放置していた.2005年11月過多月経あり近医内科受診し,重症貧血(Hb4.2g/dl)を指摘された.紹介された婦人科で子宮頸部筋腫と診断された.止血剤の投与によっても性器出血が続くため,輸血施行後子宮摘出術を勧められたが同意せず.その1ヵ月後,second opinion目的に当科を受診した.内診上子宮は小児頭大,持参してきたMRIでは約10cm巨大な子宮頸部筋腫を認めた.GnRH agonist投与後に子宮全摘術を予定したが,年末から大量の性器出血があり,動悸も出現したため2006年2月,当院救急外来を受診した.クスコ診では腟内に突出する頸部筋腫の表面から2箇所の出血点を認めた.ガーゼ圧迫を試みるも止血困難で,入院時のHbは2.5g/dLと強度の貧血を認めた.MAP 10単位,FFP 4単位の輸血を行ったが止血傾向がないため,放射線科に依頼して緊急UAEを施行した.右鼠径部からガイドワイヤーを挿入し,両側子宮動脈上行枝にスポンゼル®を注入充填した.術後1日目にはほぼ完全に止血し,貧血も改善したため7日目には退院となった. UAEは子宮体部からの出血のみではなく,子宮頸部筋腫からの大量出血に対しても有効である可能性が示唆された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2)
198-198, 2006
|