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第111回学術集会(平成18年6月18日(日))

【一般演題】
胎児異常2
後腹膜神経節原発の先天性神経芽細胞腫の一例


幡 亮人, 輿石 太郎, 村岡 友美子, 秦 奈峰子, 幡 優子, 長田 久夫, 古堅 善亮, 三橋 直樹
順天堂大学医学部付属静岡病院産婦人科


 神経芽細胞腫は,新生児や小児の最も頻度の高い固形腫瘍であり1〜3万例に1例と言われ,うち約10%が新生時期発症である.これらのほとんどは胎生期に存在していたと考えられる.近年,出生前に診断され例も増加してきているがそのほとんどは副腎原発である.我々は妊娠31週に副腎外に腫瘍を確認できた神経芽細胞腫の1例を経験したので報告する.症例は,38才1経妊1経産.今回は妊娠初期より当科で妊婦健診.妊娠31週の妊婦健診時に超音波断層法で右腎下方に接する40mm大の充実生腫瘍指摘.総腸骨動脈起始部付近より栄養される血管を認めた.右腎の下方に存在し腎との境界は明瞭であった.妊娠33週に施行したMRI検査ではT1強調画像で低信号,T2強調画像で淡い高信号であった.肝転移を疑わせる所見はなかった.出生前には,神経芽細胞腫の他,腎腫瘍,他の腹部腫瘍を考えた.妊娠経過中母体に妊娠高血圧症候群等の合併はなかった.妊娠39週時に新生児科医立ち会いの下で正常経腟分娩となった.3528g男児Apar score 6/9であった.分娩経過中胎児心拍図には異常を認めなかった.腫瘍は腹部より触知でき皮膚には明らかな腫瘤は認めなかった.出生約10分後より皮膚色蒼白となりその後腹部膨満,血圧低下を認め超音波断層法で腫瘍の増大を確認し児は他院へ緊急搬送,開腹手術となった.右後腹膜腔に腫瘍と出血を認め,肝臓には小さな結節が複数存在.全身状態悪化し切除できず血管造影にて下行大動脈と右総腸骨動脈から数本の栄養血管を同定し塞栓術を施行したがDIC,MOFと全身状態増悪し日令4死亡した.病理組織診断は右後腹膜神経節原発の神経芽細胞腫Stage 4Sの診断となった.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2) 203-203, 2006


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