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第111回学術集会(平成18年6月18日(日))
【一般演題】
胎児異常2 胎児下部消化管閉鎖を疑った先天性クロール下痢症の1例
神農 隆, 村越 毅, 中野 紀子, 平井 久也, 塩島 聡, 安達 博, 尾崎 智哉, 渋谷 伸一, 中山 理, 成瀬 寛夫, 鳥居 裕一
聖隷浜松病院産婦人科
先天性クロール下痢症(Congenital Chloride Diarrhea,以下CCDと略す)は,回腸末端及び結腸におけるClの能動的輸送の障害が原因とされる稀な遺伝的疾患である.出生直後より始まる水様下痢とそれに伴う低Cl性代謝性アルカローシス及び便中Cl値の高値が特徴.我々は出生前に下部消化管閉鎖を疑ったCCDの1女児例を経験したので報告する.【症例】30歳,1経妊0経産.妊娠初期は問題なし.前医にて妊娠26週時より腸管拡張像(蜂巣様),妊娠31週時より羊水過多が出現.妊娠32週4日下部消化管閉鎖疑いにて当科紹介初診.前医と同様の所見を認めた.その他,胎児・胎盤に形態学的異常を認めなかった.同日,入院管理とし羊水除去施行.羊水Cl濃度は109mEq/l(正常値99〜107mEq/l)であり軽度高値.1)羊水過多,2)腸管拡張像,3)膀胱拡大なきことより胎児下部消化管閉鎖を疑った.妊娠34週2日に羊水除去(羊水Cl濃度109mEq/l),妊娠35週6日に羊水除去(羊水Cl濃度110mEq/l)施行.妊娠36週2日破水後陣痛発来し鉗子分娩.新生児は2768gの女児でApgar scoreは1分後8点,5分後9点.NICU入院後,腹部単純Xpにて拡張した腸管ガス像認めるも,注腸造影では消化管閉鎖は確認できず.その後も腹部膨満・水溶性下痢が続き,著明な体重減少.日齢3から低Na・低Cl血症となり電解質輸液.日齢6に経口NaCl末内服.以上の所見と便中Cl濃度が109mEq/lと高値を示したためCCDと診断.以後経過良好であり外来経過観察となった.【考察】胎児腸管拡張像・羊水過多を確認し下部消化管閉鎖を疑ったが,その他鑑別診断として頻度は少ないがCCDも考慮すべきである.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2)
204-204, 2006
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