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第111回学術集会(平成18年6月18日(日))
【一般演題】
感染症 Mycoplasma hominisによる術後感染症の3例
楠木 総司, 阿部 弥生, 山本 祐華, 國井 優衣子, 田嶋 敦, 三和 紀子, 永井 富裕子, 田口 雄史, 野島 美知夫, 吉田 幸洋
順天堂大学医学部付属順天堂浦安病院産婦人科
Mycoplasma hominisはヒト泌尿生殖器に感染し,慢性骨盤内感染,卵管閉塞の原因となるが,マイコプラズマ属は細胞壁を持たずペニシリン系,セフェム系抗生剤は効果がない.今回我々は卵巣癌術後,帝王切開術後,鉗子分娩後と異なった契機から発症したMycoplasma hominisによる感染症を経験したので報告する.症例1は35歳,急性腹症のため緊急開腹術を施行,卵巣嚢腫破裂と考え付属器切除術を行ったが,病理検査で明細腺癌と診断されたため術後15日後に再開腹し根治術を行った.術後4日目より弛張熱を認め抗生剤を使用したが,改善を認めなかった.腟分泌物培養にてMycoplasma hominisを検出した.症例2は31歳,前2回帝王切開術の適応で予定帝王切開術を施行した.術後6日目より弛張熱,下腹部痛を認め,子宮内容物培養でMycoplasma hominisを検出した.症例3は30歳,羊水過少のため分娩誘発を行いnon-reassuring fetal statusを認めたため,鉗子分娩術を施行した.産褥3日目より下腹部痛を訴え,炎症所見も認められたため悪露培養を行ったところMycoplasma hominisを検出した.いずれの症例も術後予防投与のセフェム系抗生剤では効果なく,抗生剤を塩酸シプロフロキサシンに変更した所,急速に症状の改善を認めた.産婦人科領域の術後感染症に関して,Mycoplasma hominisによる感染症も念頭におく必要があると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2)
205-205, 2006
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