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第111回学術集会(平成18年6月18日(日))
【一般演題】
手術 腹腔鏡下の副角子宮切除後に継続妊娠が成立した単角子宮の1例
中村 絵里, 鈴木 隆弘, 高橋 千果, 池田 仁恵, 松林 秀彦, 和泉 俊一郎, 三上 幹男
東海大学医学部専門診療学系産婦人科
副角子宮は,子宮留血腫形成や重症子宮内膜症にともなう月経困難症,時に妊娠破裂などの合併症が問題となる稀な子宮奇形のひとつである.今回われわれは,2回の副角子宮妊娠を経て腹腔鏡下切除術を施行,その後に継続妊娠が成立した非交通性右副角子宮を有する左単角子宮の1例を経験したので報告する.【症例】29歳,未経妊未経産,双胎妊娠流産のため子宮内容除去術を試みるも,全く内容を排出できずに他院より紹介となった.超音波検査および腹腔鏡検査にて右副角子宮の稽留流産と診断,切迫破裂の所見なく,血中hCG値も143 IU/Lと低値であったため,胎嚢内容吸引とMethotrexate(MTX)筋注による保存治療を選択,その後の精査にて腎尿路奇形合併のない,非交通性右副角子宮を有する左単角子宮(AFS分類でIIb)と診断した.副角子宮切除術に関する同意が得られぬまま,1年後に再度右副角子宮に妊娠し,MTX局注および筋注併用にて保存治療した.さらに3年経過後に切除術に関してのインフォームドコンセントが成立し,腹腔鏡下手術を施行した.気腹法(closed法),3孔式にて施行,副角と単角子宮の連結状況は疎な結合組織であり,子宮内膜症も軽症(I期)の合併で癒着もなく,LigaSure Atlas(Valleylab社)を使用することにより,ほぼ無出血で4cm大の右副角子宮と右卵管の切除が可能であった.術後3日目に退院した.腹腔鏡下手術後4ヶ月目に左単角子宮に妊娠が成立し継続中である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2)
207-207, 2006
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