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第111回学術集会(平成18年6月18日(日))
【一般演題】
手術 2期的に腹腔鏡下手術を行った未熟奇形腫の一例
川島 佳, 松本 光代, 中田 敏英, 舟山 仁, 宮澤 豊
東京都立豊島病院産婦人科
【目的】卵巣奇形腫の1〜3%が未熟奇形腫であり,頻度としては少なく,直径は平均16cmで比較的大きなことが特徴とされている.今回,境界悪性腫瘍を腹腔鏡下手術により治療した一例を経験したので報告する. 【症例】30歳,0経妊,未婚.ドックでCA19-9上昇と卵巣腫瘍を指摘され当科へ紹介受診.初診時は腹痛などの自覚症状は特に無し.腫瘍マーカーはCA19-9:267U/ml,SCC:2.3ng/mlと上昇していたが,他はCEA:1.9ng/ml,CA125:8.6U/mlと正常であった.MRI,CT,超音波では直径8cm程の腫瘤を認め,右皮様嚢腫が疑われた.悪性所見に乏しかったため,十分なインフォームドコンセントの上で腹腔鏡下腫瘍摘出術を施行した.腹腔内は癒着無し.右卵巣は超手拳大,左卵巣は正常大であった.ソフトカップアスピレーターにて内容を吸引し,体外法にて腫瘍を摘出した.腫瘍内容物は肉眼的には脂肪と毛髪であった.病理組織診断は未熟奇形腫Grade1であったため,6週間後に再度腹腔鏡下で右付属器切除術を施行した.病理組織診断では,未熟奇形腫の遺残は無かった.腹水細胞診はClass2であった.1回目の手術より約1年経過した現在,マーカーは正常範囲であり,画像診断上も再発の兆候は認めていない. 【考察】本症例はCA19-9の上昇とSCCの軽度上昇を認めたものの,画像上卵巣は円形で大きさは8cmと巨大ではなかった.また腹腔内も癒着や播種など悪性を積極的に疑う所見は無かった.術後の観察期間が短いため,予後の良否については言及できないが,未熟奇形腫を腹腔鏡下手術で治療した症例を経験した.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(2)
207-207, 2006
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