関東連合産科婦人科学会
会員ログイン 代表挨拶
総会・学術集会
学会誌
定款
公告
利益相反
役員構成
事務局案内
求人施設一覧
関連リンク

 関東連合産科婦人科学会会誌 オンラインジャーナル

<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る

第112回学術集会(平成18年10月29日(日))

【シンポジウムI−1】
「初期研修」指導医の立場から


鈴木 真
亀田総合病院産婦人科・産科部長兼総合周産期母子医療センター長


 臨床研修医制度が必修化されて,2年が経過し,この春には初めての修了者を輩出した.
 「臨床研修は,医師が,医師としての人格をかん養し,将来専門とする分野にかかわらず,医学及び医療の果たすべき社会的役割を認識しつつ,一般的な診療において頻繁に関わる負傷又は疾病に適切に対応できるよう,基本的な診療能力を身に付けることのできるものでなければならない」(医師法16条の2第1項に規定する医師臨床研修に関する省令)という基本理念に基づいて施行されている.
 臨床研修医制度の導入は画一的で,専門科研修が2年遅れるように捉えられていることが多い.一方,今までの直ぐに専門科研修に入る制度では,他の診療科も経験してみたいと思っても困難があったことも事実である.亀田総合病院は1987年に臨床研修指定病院の資格を取得し,アメリカ人指導医の常駐,アメリカでレジデント教育を受けた指導医の招聘などを行い,民間病院としては早期より独自の臨床研修医制度により初期研修医の教育に取り組んできた.亀田総合病院の研修制度は単独型臨床研修プログラムであり,2年間を通して,一貫した理念で,有機的に統合されたプログラムで実施している.この20年近い独自の臨床研修医制度の試行錯誤を振り返り,2004年の初期研修必修化にあたり,初期研修プログラムの大幅な見直しを行い,研修のスピリット,及び新しい研修プログラムのキーワードとして4つのTで始まるTargeting,Tailor-made,Translational,Transdisciplinary:Four Tsを掲げた.
 2年間の臨床初期研修は,ある医師像を完成するものでなく,あくまでも通過点で,将来の目標(Targeting)への基礎準備をなすものである.内科6ヶ月以上,外科及び救急で6ヶ月,小児科,産婦人科,精神科,地域保健・医療など厚労省基準の研修を満たしたうえで,自分の目標に沿って合目的的ローテーション・プログラムをできるだけ自由度を持たせて構築(Tailor-made)する.また,2年間の初期研修は,将来の目標達成に役立つ(translational:翻訳可能な)ものであり,目標とする専門科の医師がmentor(アドバイザー)となり,ローテーションの組み方の相談に応じ,その専門科のカンファランスへの参加,継続外来の実施など,将来の目標科に関する興味を維持しながら,後期研修と有機的に繋がったカリキュラムとなることが望まれる.さらに,真のチーム医療を行える医師を育成するために医師レジデントのみならず,歯科医レジデント,病院管理レジデント,ナースレジデントなど医療に従事する多数の職種とともに研修することにより,広い視野を持ち,専門職を超越した(Transdisciplinary:超専門的)横断的研修プログラムを行っている.
 現在,新規の産婦人科医の減少は,産婦人科医の減少による過重労働を初期研修医が目の当たりにしたためといわれている.しかし,我々は産婦人科医が,プロフェッショナルとしての誇りをもち臨床,教育,研究を行うことで,初期研修医は羨望と憧れとなり,産婦人科志望者が増えることを期待したい.
 亀田総合病院の初期臨床研修の実際を提示し,皆様の参考になればと思う.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3) 238-239, 2006


一般社団法人関東連合産科婦人科学会事務局 〒102-0083 東京都千代田区麹町4-7 麹町パークサイドビル402 株)MAコンベンションコンサルティング内
TEL:03-3288-0993 FAX:03-5275-1192 E-mail:kantorengo@jsog-k.jp
Copyright (C) 一般社団法人関東連合産科婦人科学会