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第112回学術集会(平成18年10月29日(日))

【シンポジウムI−3】
予期せぬ母体死亡の緊急対応 産婦人科医師の立場から


西井 修
帝京大学溝口病院産婦人科・助教授


 母体死亡は,年間どの程度起こっているのであろうか.母子保健の主なる統計(平成17年度刊行)によると2004年の妊産婦死亡数は,2003年の69人から20人減少し49人となっている.国際疾病分類(ICD-10)による死因別では,子宮外妊娠や胎盤早期剥離などの直接産科的死因は38人であり,妊娠に合併した疾患の増悪など間接産科的死因は11人であった.
 母体死亡は前置胎盤や妊娠高血圧症候群などの基礎疾患に関連する場合と,胎盤早期剥離や分娩時の出血などのように病態の進行した結果起こる場合,そして羊水塞栓のようにまったく予期せぬ突発的な場合に分けられる.いずれの場合も,最終的な結果としての母体死亡を想定した対応を行っているわけでなく,その時点での状況を改善する目的で行った処置に効果がないために母体死亡に至るので,対応は後手にならざるを得ない.
 また,母体死亡は妊娠から分娩に至る一連の経過の中で起こる.緊急を要する処置や対応を行っている最中には時間的,精神的な余裕がないため,患者家族に病状の進行を時系列に説明することが難しい.家族に大きな不信感を抱かせるだけでなく,当事者である医師には大きな落胆とさまざまな負担がかかってくる.そのようなときに冷静な行動や対処ができるであろうか.迅速かつ適確な対応は,冷静な状態であってはじめて可能となる.目前に迫った緊急時には,反射的な対応が必要となる.
 したがって,本講演では,妊娠,分娩,あるいは手術において,ある一定の頻度で母体死亡が起こることを前提にし,突発性に起こる予期せぬ死亡と基礎疾患に関連する死亡,それぞれにおける緊急対応を要旨とする内容とした.
 母体死亡を起こさないことがもっとも大事であるが,目前に迫った母体死亡だけでなく,その後の対応に対して,産婦人科医としてどのような対応が必要なのか,あるいは可能なのかを提示でければ幸いである.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3) 243-243, 2006


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