|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第112回学術集会(平成18年10月29日(日))
【シンポジウムII−2】
2.がん治療後の排卵障害をめぐって
宇津木 久仁子
癌研有明病院婦人科・医長
卵巣癌で妊孕性温存を図る場合は二通りあり,一つは胚細胞性腫瘍で一側附属器切除を行なう場合,二つ目は上皮性卵巣癌のIa期と想定される癌において,患者の希望で一側附属器切除(±リンパ節廓清)を施行する場合である.一般に胚細胞性腫瘍は若年者の発症が多いこと,抗癌剤の感受性がよいことより,一側の附属器切除にとどめ,必要に応じ抗癌剤治療の追加となる.上皮性卵巣癌のIa期では,リスクが少ないという条件のもとでの妊孕性温存手術なので,術後に抗癌剤を施行することは原則的にない.ここでは,当院での妊孕性を温存した卵巣癌患者について,抗癌剤の有無と絡め,治療後の月経の有無,妊娠の有無について調査する.さらに文献的に,抗癌剤投与後の月経,排卵,妊娠についての報告を調査しまとめるとともに,妊孕性を温存した患者に対し,排卵障害があった場合に排卵誘発を行なってよいのか,いつから,妊娠を許可するか等,実際上問題となる点について述べる. また,産婦人科医が他科からのコンサルテーションも含め,判断が求められることとして,他疾患等で抗癌剤を投与するときの卵巣庇護の必要性の有無,卵子保存などの問題もある.これらについても現状況を文献的に報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3)
252-252, 2006
|