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第112回学術集会(平成18年10月29日(日))

【一般演題】
妊娠分娩2
尿管結石と妊娠悪阻を伴った原発性副甲状腺機能亢進症合併妊娠の1例


青木 朝子1), 花岡 由里子1), 大平 哲史1), 長田 亮介1), 芦田 敬1), 金井 誠1), 小西 郁生1), 櫻井 晃洋2), 伊藤 研一3)
信州大学産婦人科1), 信州大学加齢総合診療科2), 信州大学乳腺内分泌外科3)


 妊娠に副甲状腺機能亢進症が合併することは稀で,無症候性であることも多いためその診断は難しい.今回,尿管結石と妊娠悪阻を契機に診断された原発性副甲状腺機能亢進症合併妊娠の1例を経験した.症例は25歳,1経妊0経産で,前医にて妊娠を確認され経過観察されていたが,妊娠7週と9週時に強い腰背部痛が出現し尿管結石と診断されたため疼痛管理目的で前医に入院となった.また妊娠悪阻も伴っていた.前医での血清カルシウム(Ca)値が12.6mg/dlと高値であり,また血清parathyroid hormone(PTH)が1760pg/ml(基準値90〜270pg/ml)と著明に上昇していたため,副甲状腺機能亢進症の疑いで当科紹介,妊娠14週4日に入院となった.悪阻は補液にて徐々に軽減し,結石の排石以後腰背部痛は認められなかったが,頚部超音波検査およびMRIにて両側甲状腺上極背側の副甲状腺腫の疑いと診断された.妊娠17週3日に副甲状腺摘出術(両側上2腺)を行い,血清Ca値,PTHともに正常化した.摘出物の病理検査では2腺とも副甲状腺過形成であった.術後の妊娠経過は順調であり,妊娠40週5日に自然陣痛発来し,同日2948gの男児(Apgar score 9/10)を経膣分娩した.妊娠中の副甲状腺機能亢進症が治療されなかった場合,子宮内胎児発育遅延,早産,子宮内胎児死亡,新生児テタニーなどが発症しうる.今回,妊娠中の副甲状腺機能亢進症の診断・治療について考察する.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3) 269-269, 2006


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