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第112回学術集会(平成18年10月29日(日))
【一般演題】
妊娠分娩5 当科における脳動静脈奇形(AVM)合併妊娠症例の検討
柴田 優子, 末永 昭彦, 上山 明美, 赤堀 太一, 臼井 真由美, 村山 敬彦, 斉藤 正博, 関 博之, 馬場 一憲, 竹田 省
埼玉医科大学総合医療センター産婦人科
【緒言】AVM合併妊娠では方針を決定する上で明確な指針となる報告が少なく,妊娠の継続に対して妊娠前の診断がついていることが望ましい.しかし,今回妊娠期間中に脳出血発症後にAVMと診断し妊娠分娩の管理に苦慮した症例を経験したので,文献的考察を含め報告する.【症例】20歳,0経妊0経産,既往歴:特記事項なし,家族歴:祖母,祖父に脳梗塞.最終月経H17年9月9日として妊娠.妊娠15週,性交渉後,頭痛に続き,右手不全麻痺,失語が出現し,近医受診.CTにて,左脳出血(左頭頂葉皮質下に5cm大の境界不明瞭な高吸収領域)を認め,当院脳外科搬送となった.胎児心拍(+),BP120/65,アレビアチン投与,補液等にて保存的に経過観察の方針となった.妊娠17週,出血病変の縮小を認め,脳血管撮影にてdiffuse type AVMの診断,手術不適の判断を得た.このtypeはradiation therapyが主たる治療で,即効性が無く保存的に経過観察せざるを得ず,妊娠期間中の再出血での母児死亡の危険性を説明した後,妊娠継続の方針となった.妊娠21週,MFICUへ転棟入院管理となった.その後,繰り返す頭痛はみられるが,血圧は安定.児の発育,母体の再出血の危険性を考慮し,分娩時期を妊娠31週3日に設定し帝王切開での分娩とした.術後,母児ともに順調に経過し,産褥にradiationの方針で退院した.【結論】びまん性脳動脈奇形に対する治療は,外科的治療の適応は無く,分娩後のradiationを選択せざるを得なかった.妊娠経過中の管理は,産科と脳外科・麻酔科の連携により再出血等のriskを評価し,分娩方針を設定することが必要である.本症例を含めて当科におけるAVM合併妊娠症例の妊娠分娩管理について考察する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3)
275-275, 2006
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