|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第112回学術集会(平成18年10月29日(日))
【一般演題】
妊娠分娩6 28週で子宮破裂した子宮腺筋症核出術(adenomyomectomy)後妊娠例
森松 友佳子, 平野 由紀, 東山 信彦, 伊志嶺 めぐみ, 佐藤 友美, 薄井 里英, 大口 昭英, 泉 章夫, 松原 茂樹, 鈴木 光明
自治医科大学産婦人科
子宮腺筋症核出術(adenomyomectomy)では子宮筋層が一部切除されるため,adenomyomectomy後妊娠は子宮破裂リスクを高める可能性が高い.また,帝王切開後妊娠では術後妊娠期間が短い場合には子宮破裂リスクが高まると報告されている.今回わたしたちは子宮腺筋症核出術後妊娠例で,妊娠28週で子宮破裂をきたした一例を経験した.症例は35歳の1経妊1経産婦である.他院Aで体部後壁adenomyosisに対して腹腔鏡下子宮腺筋症核出術が施行された.術後1ヶ月で発来した月経を最終月経として妊娠した.術後の避妊期間について患者は明確な指示を受けていなかった.他院Bで妊娠経過をフォローされ異常なく経過していた.28週2日に下腹部痛が突発した.B院で胎盤肥厚と胎児徐脈が認められ「常位胎盤早期剥離」の診断で当科へ搬送された.緊急帝王切開術で開腹したところ腹腔内に多量の血液が貯留していた.子宮後壁の菲薄化した筋層が破裂しており,同部位より動脈性出血を認めた.破裂部位を修復止血し,手術を終了した.腹腔内出血1500ml,total出血2560ml,MAP2単位輸血.児は1356gの男児でAp1(1分)−5(5分),NICUへ入院となった.母体は術後10日目に退院した.子宮腺筋症核出術後の妊娠では,子宮破裂を念頭において妊娠経過を慎重に観察すべきである.また,術後の避妊期間・分娩様式についても検討が必要である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3)
277-277, 2006
|