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第112回学術集会(平成18年10月29日(日))

【一般演題】
妊娠分娩7
帝王切開術中に急激なアシドーシス,ショックをきたした一例


秦 奈峰子, 輿石 太郎, 卜部 麻子, 幡 亮人, 幡 優子, 長田 久夫, 古堅 善亮, 三橋 直樹
順天堂大学医学部附属静岡病院産婦人科


 産科ショックは急激かつ重症の経過をたどり,的確な病態把握と迅速な対応が求められる.今回我々は帝王切開術中に急激なアシドーシス,ショックをきたした一例を経験したので報告する.症例は32歳,3経妊,1経産.31歳時に本態性高血圧,II型糖尿病と診断され,降圧薬および経口血糖降下薬を内服していた.妊娠判明とともに,経口血糖降下薬内服を中止しインスリンを導入した.妊娠経過は概ね良好であった.妊娠37週時に,妊娠高血圧症候群(hp-LOS)と診断し入院管理.妊娠38週4日に,PIH重症化(血圧上昇,尿蛋白増量)のためオキシトシンによる分娩誘発を行った.分娩進行中,収縮期血圧210mmHg,拡張期血圧106mmHgと上昇し降圧薬投与に反応せずコントロール不良となったため,全身麻酔下に緊急帝王切開術を行った.術中,児娩出後より急激な血圧低下,著明なアシドーシスをきたしアナフィラキシー様ショックとなった.発症時の血液検査では既にDICを呈しており,その後に多量の性器出血が持続した.速やかに急速補液,昇圧剤投与,MAP,FFPの投与等のショックに対する治療を行い,DIC治療およびアシドーシス補正を開始した.術後も継続して集中治療室で呼吸循環管理を行った.総じてMAP38U,FFP46U,PC20Uを投与した.術後6日目に漸く人口呼吸管理を中止し,7日目に歩行を開始した.術後28日目に後遺症を残すことなく退院した.以上のような症例においていかなる病態を呈していたのか,さらには産科ショックに関する今後の課題等を検討し,若干の文献的考察を加えて報告する.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3) 279-279, 2006


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