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第112回学術集会(平成18年10月29日(日))
【一般演題】
妊娠分娩7 胎盤付着部位による常位胎盤早期剥離の診断・予後の違いの検討
永山 千晶, 峯 伸也, 中川 道子, 三浦 直美, 村田 知昭, 鈴木 俊治
葛飾赤十字産院産婦人科
【背景】常位胎盤早期剥離は,子宮内胎児死亡や母体DICなどを合併し,母児の生命を著しく脅かす疾患である.Chamberlainらのクリニカル・レヴューによると,胎盤が子宮後壁に位置する症例では,前壁に位置する症例に比較して常位胎盤早期剥離による妊婦の自覚症状が軽度であるため,より注意を要するとされている.【目的および方法】胎盤の付着部位によって常位胎盤早期剥離の診断および予後に違いがあるか自験例を後方視的に検討した.対象は,2002年から2005年の間に当院で経験した母体搬送例を除いた常位胎盤早期剥離を発症した単胎妊娠29例である.前壁付着群17例および後壁群12例に分類し,妊婦の自覚症状,診察所見,母体および新生児予後について比較した.【結果】妊婦の自覚症状,診察所見,母体および新生児予後に関して両群間に有意差は認められなかったが,前壁群では全例に分娩前に常位胎盤早期剥離を診断しえたのに対して,後壁群で常位胎盤早期剥離と診断しえたのは8例(67%,p<0.05)のみであった.【結論】本結果はChamberlainらの報告を必ずしも支持するものではなかったが,出血や腹痛を訴える妊婦に対して,胎盤が子宮後壁に位置する場合は常位胎盤早期剥離を否定するには慎重を要することが推定された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3)
281-281, 2006
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