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第112回学術集会(平成18年10月29日(日))
【一般演題】
妊娠分娩8 癒着胎盤により帝王切開後に子宮摘出を行った3症例
五十嵐 豪, 井槌 慎一郎, 杉下 陽堂, 井埜 まり絵, 奥津 由記, 土井 めぐみ, 中村 真, 田村 みどり, 斉藤 寿一郎, 石塚 文平
聖マリアンナ医科大学産婦人科
帝王切開術(以後c/s)の増加に伴い過去50年間でc/s既往の前置・癒着胎盤の頻度は10倍になっている.c/s既往1回の前置胎盤で癒着胎盤となる頻度は24%,既往2回では47%と高くなるとの報告もある.今回,c/s術中・術後に癒着胎盤と診断し子宮摘出を行った3症例を報告する.症例1 39歳,1経妊1経産,前回c/s,全前置胎盤.妊娠34週4日,MRIにて癒着胎盤を疑い当院搬送入院.自己血800ml採取.妊娠37週3日予定c/s施行.子宮後壁の一部に胎盤の癒着があり,引き続き単純子宮全摘術を施行.術中出血は3869ml.病理にて穿通胎盤.症例2 37歳,2経妊2経産,前2回c/s,全前置胎盤.初期より当院外来にて妊娠管理.MRIにて子宮前壁の筋層は不明瞭.膀胱鏡検査では膀胱への穿通は認めず.自己血1600ml採取し,妊娠37週4日予定c/s.術中に癒着胎盤を確認し,Porro手術を施行.出血は5327ml.病理にて癒着胎盤.症例3 44歳,2経妊2経産,全前置胎盤.(吸引分娩2回)妊娠25週3日,当院紹介入院.自己血1600ml採取.妊娠36週1日予定c/s施行.子宮下部から右側にかけて胎盤の癒着があり,剥離困難にて続けて単純子宮全摘術を施行.術中出血は3056ml.病理にて癒着胎盤.前置・癒着胎盤では胎盤剥離時に大量出血をきたす可能性が高く,母体の生命予後に直結する.自己血も含め輸血の対応が早急にでき,マンパワーを有する高次医療機関での分娩管理が必要であると思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3)
281-281, 2006
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