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第112回学術集会(平成18年10月29日(日))
【一般演題】
妊娠分娩8 癒着胎盤〜保存的加療が著効した1例と子宮全摘術に至った1例〜
花岡 由里子, 村中 愛, 保倉 宏, 三橋 祐布子, 本道 隆明, 木村 薫
厚生連篠ノ井総合病院産婦人科
児娩出後に胎盤が娩出されない胎盤遺残に対して保存的療法や外科的療法が行なわれいる.しかしながら,コンセンサスの得られた治療方針はいまだ確立されていない.今回我々は癒着胎盤の2症例を経験した.症例1は27歳初産.前医にて妊娠40週にfetal distressのため帝王切開術を施行された.胎盤が子宮壁に強固に癒着しており,胎盤を残したまま閉創され当日当科搬送入院となった.メソトレキサート(MTX)投与20mg×5daysを2クール施行し,経過中血中hCGは除々に低下した.以降少量の性器出血を認めるのみで,産褥56日目経膣超音波検査にて子宮内腔の腫瘤は完全に消失した.症例2は33歳1回経産.前回帝王切開術,全前置胎盤のため当科紹介受診となった.妊娠37週に予定帝王切開術を施行.子宮頸部から体部前面にかけて膀胱が覆い,膀胱と子宮をつなぐように静脈の走行が多数認められたため,古典的帝王切開術にて児を娩出した.胎盤,卵膜を残したまま閉創とし,術後1日目よりMTX投与20mg×5daysを開始した.投与後8日目より強い骨髄抑制を認めたため,1クールで終了とした.以降性器出血は認めないが,依然超音波ドプラ法では血流を認めた.産褥32日目突然の多量性器出血を認め,緊急腹式単純子宮全摘術を行なった.術前検査ではPlt 8.8,APTT 57とDICを疑う所見を認め,術中出血量は3000gを超える程となった.術後ICU管理とし,術後7日目全身状態改善のため退院した.癒着胎盤において,保存的治療が有効であった症例と単純子宮全摘術に至った症例について,文献的考察を加え検討する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3)
282-282, 2006
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