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第112回学術集会(平成18年10月29日(日))

【一般演題】
妊娠分娩8
出血性ショックに陥った弛緩出血を救命し得た1例


曽根 淑恵1), 中安 ルナ1), 時田 佐智子1), 高橋 晃1), 池田 申之1), 中村 靖1), 中野 義宏2)
順天堂大学医学部附属練馬病院産婦人科1), 中野産婦人科産婦人科2)


 平成3,4年の妊産婦死亡例の実態調査では230例の妊産婦死亡が見出され,出血性ショックが最も多く38%であり,その中で弛緩出血は15%を占めている.今回我々は弛緩出血によるショックの為,心肺停止に近い状態で搬送された患者を救命し得た症例を経験したので報告する.43歳2経妊2経産.既往歴,うつ病.妊娠38週3日夕方に陣痛発来し,20時30分かかりつけ医受診.子宮口7cm開大認め入院.分娩は順調に進行し23時50分に経膣分娩.児は3050g男児Ap9/10であった.その後弛緩出血を認め,双手圧迫,オキシトシン投与するも全く改善認めない為当院への搬送依頼となった.産科医2名が救急車に同乗し1人は双手圧迫,もう1人は輸血,昇圧剤投与,心臓マッサージしながら2時42分当院へ到着.血圧は収縮期30mmHg,双手圧迫の手を緩めると大量に血液が流れ出てくる状態であった.救急医2名,産科医5名,他科医師2名,看護師2名で治療を行った.ミダゾラム2mg投与し2時53分挿管,輸血開始.収縮期血圧60mmHgまで上昇を認め手術室へ移動,3時21分手術開始.麻酔は挿管時使用したミダゾラムのみで3時53分子宮摘出,5時32分手術終了,ICU管理となった.術後2日目抜管,5日目一般病棟へ転棟となった.今回救命し得たのは,搬送までの適切な処置がなされていたこと,前もって十分な患者の情報が得られ,夜間にもかかわらず多数のスタッフを確保できた為と考えられる.ここ数年産科医の減少と分娩取り扱い施設が減少傾向にあり,安定的な医療提供が極めて厳しい状況にある.この現状下で妊産婦死亡の防止の為には,適切な応急処置,マンパワーの確保,正確な情報の伝達,地域病院との連携が重要であると考えられる.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3) 282-282, 2006


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