|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第112回学術集会(平成18年10月29日(日))
【一般演題】
妊娠分娩8 当院において分娩直後に子宮摘出となった症例の検討―平成14年4月より現在まで―
長橋 ことみ, 原 信, 松下 良伯, 中島 彰
磐田市立総合病院産婦人科
分娩直後に子宮摘出となった症例は,術前後に重篤な合併症を併発し,その管理にしばしば苦慮することとなる.今回我々は,平成14年4月より現在までに当院で分娩直後に子宮を摘出した8症例を比較検討したのでここに報告する.症例は,常位胎盤早期剥離4例,癒着胎盤3例,分娩子癇1例で,年齢は24歳から36歳(平均31歳),既往妊娠は初産1名,1経産7名であった.また分娩(手術)時の妊娠週数は,32週3日より41週4日まであり,胎内死亡は2例あり,ともに早産(妊娠32週および33週)であった.出生体重は,胎内死亡例平均1822g,生存6例平均3124.8gであり,またApgar scoreは1分値が1点から9点,5分値が2点から10点まであり,新生児仮死症例も3例含まれていた.次に母体術後の管理では,手術時出血量は630mlから3517mlまでさまざまだが,母体搬送症例では術前出血量が不正確な場合があり,その場合臨床経過や術前後の血液検査を参考に治療方針を決定した.そこで術直後の状態だが,産婦人科DICスコアーで5点から14点(平均9.5点)と7例DICと判定され,術後に全例輸血となったほか,ウリナスタチン,FOY,AT3製剤が使用された.術後経過は順調で母体のみならず児においても生存6児全員今のところ後遺症を認めていないが,今後も引き続き経過観察をしていく予定である.今回の8例は,母体搬送4例,当院管理4例であったが,当院は平成14年以来分娩数が激増しており今後さらにこのような症例が増加する可能性が高いため,より適切な判断と処置が必要と考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3)
283-283, 2006
|