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第112回学術集会(平成18年10月29日(日))
【一般演題】
妊娠分娩11 吊り上げ式腹腔鏡下卵管間質部妊娠手術におけるLLETZループ電極の使用経験
湯山 公美子, 池田 真理子, 高田 舞子, 青木 道子, 須藤 慎介, 中田 敏英, 細川 知俊, 中田 浩一, 飯田 俊彦
済生会宇都宮病院産婦人科
〔緒言〕卵管間質部妊娠に対しては従来開腹手術が選択されることが多かったが,近年,止血目的にバゾプレシンを用い,また時に絨毛遺残に対しメソトレキセートなどの薬物療法を追加することにより,腹腔鏡下手術を施行した症例も散見されるようになった.当院においても,平成14年1月より平成18年6月までに7例の卵管間質部妊娠を経験し,5例に腹腔鏡手術を施行した.開腹手術も含めたいずれの症例も妊娠部位の切除に際し,バイポーラーシザーズもしくはフック式モノポーラーを用いていた.しかし切除面がラフで,肉眼的に絨毛組織の完全摘出を確認するのが比較的難しい印象があり,1例は術後hCGが陰転化するまでに約3ヶ月を要し,切除範囲が不十分であったことが一因と推定された.今回われわれは,卵管間質部妊娠において,従来子宮頚部円錐切除術に用いるLLETZループ電極を用いることにより,比較的容易に切除範囲を決定でき経済的にも満足する結果をえられた1例を経験したので報告する.〔方法〕術前に経腟超音波およびMRIにて卵管間質部妊娠が疑われた未破裂の症例に施行した.腹腔鏡は瑞穂式腹壁全層吊り上げ器を用い,臍下には12mmのトロッカー,他2箇所はラッププロテクターミニを用いた.左卵管間質部に妊娠部位を認め,その部位に止血目的にバゾプレシン(10ml;0.2単位/ml)を局注した.次に,鉗子口よりLEETZループ電極を挿入し,妊娠部位を切除した.切除面はスムースで出血も極少量であり,絨毛の遺残の有無を容易に肉眼で確認できた.切除部位を合成吸収糸にて体内結紮し,手術終了とした.手術時間は85分で術後2週間でhCGは陰転化した.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3)
289-289, 2006
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