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第112回学術集会(平成18年10月29日(日))
【一般演題】
妊娠分娩12 当科における緊急帝切時の手術決定・児娩出時間短縮の試み
松本 光代, 舟山 仁, 川島 佳, 加藤 佳代, 吉仲 昭, 宮澤 豊
東京都立豊島病院産婦人科
【目的】non-reassuring fetal status等の際には,緊急帝王切開術の決定から執刀または児娩出までを30分以内とすることが望ましいとされているが,実際には物理的,人的要因などから必ずしもスピーディーに行えないことも多い.今回我々は,緊急度の高いと考えられる帝切例で,30分以内の児娩出を目標として,手術決定・児娩出時間(D−D time)の短縮を試みたので報告する.【方法】平成17年4月以降,超緊急帝切を設定し,通常の緊急帝切との差別化を行ない,設定前の平成16年の緊急帝切例(30例)とH17年4―10月の14例についてD−D timeを比較した.麻酔医,手術室スタッフ,助産師と合同で検討し,手術室の一室を常時帝切用に確保し,ラジアントウォーマーや,麻酔用器材薬品,手術器材パックの配置をおこなっておこくこととした.また麻酔は,全身麻酔を原則とし,妊婦全員に麻酔の説明書を事前に配布することにより,術前の同意の簡略化を行い,また検査の省略等を行った.また,緊急連絡時の伝達経路の整理,入室経路の見直し,申し送りの簡略化を行った.【成績】超緊急帝切導入前のD−D timeは平均1時間34分,最短54分であったが,導入後平均27分,最短16分に短縮された.一方で導入後母体喉頭浮腫やsleeping babyなどの事象が経験された.【結論】超緊急帝切の導入により緊急帝切時のD−D timeの短縮が可能であったが,母体・児の合併症に対する対処を要する.また,継続的に超緊急帝切に対応できる態勢を維持するためには,マンパワーの充実が必要である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3)
291-291, 2006
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