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第112回学術集会(平成18年10月29日(日))
【一般演題】
妊娠分娩13 安全で快適なお産をめざして―無理にいきませないお産から,分娩第2期の安全限界を探る
濱田 亜衣子, 中西 美紗緒, 岡 朱美, 古澤 祐紀, 桝谷 法生, 小早川 あかり, 定月 みゆき, 五味淵 秀人, 箕浦 茂樹
国立国際医療センター産婦人科
かつて当院では分娩第2期にはバルサルバ法で積極的にいきみを開始していたが,ここ数年は無理にいきませないお産を試みている.これまで分娩第2期が2時間経過した症例では吸引・鉗子分娩,帝王切開などの介入が行われてきたが,現在では介入を行わず待機する症例が増えてきた.当院における症例の検討から新たな分娩第2期の正常範囲を探る.2003年1月から2005年7月までの正期産(単胎・頭位)症例で,2500g以上の児を娩出した初産413例と経産371例について,分娩経過や経過中の産科処置,新生児所見を検討した.分娩第2期は経産では94.3%が2時間以内であったのに対して,初産では2時間以内は66.1%であり,平均は経産で39分,初産で1時間59分であった.分娩第2期遷延の87.0%が初産婦であったことから,初産婦を中心に産科処置と新生児所見について検討を行った.陣痛促進は3時間を,鉗子分娩は2時間を超えると増加していたが,クリステレル圧出,吸引分娩,帝王切開については症例が少なく明瞭な傾向は不明であった.新生児所見は,Apgar Scoreが7点以下や臍帯動脈血pHが7.20以下,新生児仮死,呼吸障害,MASが認められてNICU入院となった症例は3時間,感染疑いとされた症例は4時間を超えると増加傾向が認められた.母体・胎児の状態を的確に評価することによって,安全限界はあるものの,分娩第2期の許容範囲は確実に広がったといえる.待機的に取り扱える症例かどうか,母体の疲労度や感染徴候,胎児の状態などを考慮し,安全性を損なわない範囲で適切な最小限の医療介入を行うように努めることが肝要であろう.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3)
293-293, 2006
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