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第112回学術集会(平成18年10月29日(日))
【一般演題】
子宮良性疾患2 子宮動脈塞栓術後および流産後の変性筋腫核の比較検討
小林 優子, 武内 裕之, 北出 真理, 菊地 盤, 島貫 博人, 熊切 順
順天堂産婦人科
【はじめに】子宮筋腫の子宮温存療法として子宮動脈塞栓術(UAE:uterine artery embolization)の有効性が多数報告されている.UAEにより子宮容積が30〜40%に縮小したが圧迫症状が改善しない3症例に患者の希望で腹腔鏡下筋腫核出術を行った.また,流産に腹腔鏡下筋腫核出術を施行した症例で,MRIおよび摘出筋腫核の肉眼所見がUAE後の症例と酷似していた.ここに着目し,両者における筋腫核変性の状況をMRI画像および組織学的に比較検討した.【MRIの比較検討】UAE後の子宮筋腫ではMRI上造影効果は認められず,T1/T2強調画像でLow intensityとなる.妊娠後の症例は,流産の症例であったがMRI上UAE後と同様にMRI上造影効果は認められず,T1/T2強調画像でLow intensityで,いずれも壊死性変化を示した.【病理学的比較検討】核出したUAE後および流産後の子宮筋腫核はいずれも弾性硬で黄〜赤褐色,割面は唐草模様であった.組織学的には硝子化や石灰化が強く,細胞成分が少ないことが特徴的であった.【まとめ】UAEは子宮動脈を塞栓することで子宮筋腫核が変性・縮小する.これに対し,産褥・流産後症例の子宮では子宮動脈からの血流の変化や出血性梗塞・微小血栓,エストロゲンの分泌減少による増殖因子やアポトーシスの変化などによりUAEと同様に平滑筋の萎縮や変性をきたして子宮筋腫が縮小すると考えられた.妊娠は,子宮筋腫核に対しUAEと同様の変化をもたらす可能性が示唆された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3)
296-296, 2006
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