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第112回学術集会(平成18年10月29日(日))
【一般演題】
子宮良性疾患2 子宮筋3重フラップ法による子宮腺筋症摘出術の合併症と再発について
柿沼 敏行, 長田 尚夫, 清水 八尋, 山本 範子, 永石 匡司, 松浦 眞彦, 藤井 トム清, 山本 樹生
日本大学医学部(駿河台日大病院)産婦人科
【目的】重症な子宮腺筋症は,不妊,月経痛,過多月経などの多彩な臨床症状を呈し,QOLに大きな影響を及ぼす.このような子宮腺筋症に対し,臨床症状の改善と妊娠に耐えうる子宮壁の再建のために,本人に同意を得た上で,子宮筋3重フラップ法(triple-flap method)による子宮腺筋症摘出術を行ってきた.本手術の臨床症状の改善については,著しい有効性を認めている.今回,子宮腺筋症摘出術後の合併症と再発について検討したので報告する.【方法】平成12年4月から平成18年3月までに行った子宮筋3重フラップ法による子宮腺筋症摘出術63例を対象とし,子宮腺筋症摘出術後の合併症,再発について以下を検討した.1.術野における子宮腺筋症の再発,2.術野以外の子宮腺筋症の増悪(新たな子宮腺筋症の出現など),3.術後合併症(子宮壁の創部縫合不全,血腫,術後感染症,子宮腔内癒着など)ついて検討した.【結果】術野における子宮腺筋症の再発例は2例で(治療を必要とせず),術野以外の子宮腺筋症の増悪は1例に認めた.術後合併症については,子宮腺筋症摘出術後子宮壁の創部に血腫を2例(いずれも拇指頭大で妊孕性には支障ない程度である.経過観察中であるが縮小傾向である.)認めた.縫合不全,感染,子宮腔内癒着は認めていない.月経痛,過多月経においては,術前に比べ著しい軽減を認め,治療を要する症例は経験していない.【結語】子宮筋3重フラップ法による重症子宮腺筋症摘出術は,術後の経過も良好で,治療を要するような合併症は認められていない.子宮壁の再建,臨床症状の改善に非常に効果的であるといえる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3)
297-297, 2006
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