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第112回学術集会(平成18年10月29日(日))

【一般演題】
子宮内膜症
52歳閉経女性にみられ悪性腫瘍が疑われた子宮内膜症の1症例


田村 正明, 千島 史尚, 高田 眞一, 山本 樹生
日本大学医学部産婦人科


 【はじめに】子宮内膜症は近年その悪性腫瘍の発生母地となりうる可能性が指摘されている.今回,閉経女性にみられ悪性腫瘍が疑われた子宮内膜症の症例を経験したので報告する.【症例】症例は52歳,1回経妊0回経産で,以前より腹痛を訴えていたが放置していた.下腹部痛,発熱,嘔吐を認め全身状態の悪化が著しかったため,当院救命センターへ搬送となった.内診では骨盤内に手拳大の腫瘤を触知し,圧痛を認めた.X線写真上肺炎像と腸閉塞所見を認めた.骨盤MRIでは子宮後壁に8cmの筋腫とダグラス窩付近に6cmの嚢腫性腫瘤を認めた.血液生化学検査では凝固の亢進と炎症所見,BFP 270U/ml,CA125 73.6U/mlと高値であった.全身状態の安定後悪性腫瘍を念頭に初診より2ヵ月後開腹術を施行した.両側付属器,小腸,回盲部,S状結腸は強固に嚢腫性病変と癒着しており,内部から膿の排出を認めた.単純子宮全摘術,両側嚢腫摘出術および小腸回盲部S状結腸合併部分切除術を施行した.病理診断はendometriosis of both adnexae,liomyoma,adenomyosis of uters,inflammatory pseudotumor necrosisであった.症状軽減し術後18日目に退院となった.【結論】子宮内膜症性嚢胞の卵巣癌合併率は40歳代より上昇するといわれる.本症例では悪性腫瘍を前提に手術を計画したため複数臓器に及ぶ病変にも対応しえた.閉経後の内膜症は稀であるが,これに対しては悪性腫瘍に準じた手術準備をすることが妥当であると思われた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3) 300-300, 2006


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