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第112回学術集会(平成18年10月29日(日))

【一般演題】
子宮内膜症
子宮内膜症性嚢胞に対する腹腔鏡下手術における内腔焼灼法と嚢胞摘出法の比較


沼尾 彰子, 川内 博人, 大類 恵美子, 武井 英理子, 石川 雅一, 海野 信也
北里大学医学部産婦人科


 (目的)我々は内膜症性嚢胞を有する重症子宮内膜症例に対する有用な保存的治療法として複数の治療法を併用する複合療法について報告してきた.今回は,腹腔鏡下手術時の内膜症性嚢胞の治療法として嚢胞径が十分縮小している場合に嚢胞内腔を焼灼した群(以下焼灼群)と嚢胞径の縮小が十分に得られなかった場合に嚢胞を摘出した群(以下摘出群)について,治療後の妊娠及び再発を検討したので報告する.(方法)対象は1998年4月から2004年3月までの6年間に,当科家族計画外来通院中の卵巣内膜症性嚢胞を有する症例で,GnRHa療法―経腟的嚢胞内容吸引術―腹腔鏡下手術の併用療法を行い,治療後6ヶ月以上の経過を観察できた53例である.(結果)対象症例の年齢は平均30.2歳,内膜症性嚢胞は片側性24例,両側性29例,治療前の嚢胞平均径は54.0mmで平均吸引内容量は97.9mlであった.腹腔鏡下手術時の内膜症性嚢胞は平均22.1mmに縮小していた.53例中17例(32.1%)に内膜症性嚢胞の再発を認めた.挙児希望を有する21例中9例(42.9%)に妊娠が成立した.治療終了から妊娠成立までの期間は平均10.4ヶ月(3〜21ヶ月)だった.腹腔鏡下手術時の術式の選択による効果を比較検討すると,妊娠率は焼灼群では11例中2例(18.2%),摘出群では13例中7例(53.8%),再発率は焼灼群では23例中6例(26.1%),摘出群では28例中10例(35.7%)といずれについても有意差を認めなかった.(結論)内膜症性嚢胞を有する子宮内膜症例に対する複合療法において,腹腔鏡下に嚢胞を焼灼したものと摘出したもので術後の再発に差はなかったことから,手術時の嚢胞径で術式を選択するこの治療方針は妥当であると考えられた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3) 300-300, 2006


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