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第112回学術集会(平成18年10月29日(日))
【一般演題】
良性腫瘍その他 腫瘍マーカーが異常高値を示した15 Kgの巨大卵巣皮様嚢腫の1例
福井 雅子, 小堀 宏之, 斎藤 知見, 依田 綾子, 糸賀 知子, 西岡 暢子, 長沢 敢, 山本 勉
越谷市立病院産婦人科
【緒言】皮様嚢腫は生殖年齢の若年女性に好発し,全卵巣腫瘍の20〜25%を占める臨床的に遭遇することの多い卵巣腫瘍である.片側が15kgと超巨大であった両側卵巣皮様嚢腫の一例を経験したので報告する.【症例】34歳.0経妊0経産.腹部膨満感を主訴に近医内科を受診し,超音波検査で腹水を指摘され当科を紹介受診した.骨盤内〜剣状突起に至る腹部全体を占拠する単房性の嚢胞性腫瘍を認めた.CT検査では最大径30cm×23cmの造影効果のない低吸収域の腫瘍を認め,MRI検査では脂肪抑制像で明らかな抑制効果を認めなかった.CA19-9:670U/ml CA125:284U/ml SCC:2.2ng/mlと腫瘍マーカーの上昇,Hb:8.0g/dlと貧血も認めた.悪性の可能性も考慮に入れ,手術は全身麻酔下で開腹した後,sand balloonを用いて右卵巣腫瘍の内容物を吸引した(約13L).術中迅速病理診断で悪性腫瘍の可能性は低いと判断されたため,右付属器切除術及び左卵巣嚢腫摘出術を施行した.手術時間;1時間15分,出血量;73g.術後病理診断は両側卵巣皮様嚢腫であった.組織学的に,右卵巣は単房性で内容は凝血塊からなっており,一部僅かに扁平上皮を認め,線維性に肥厚した壁内に僅かに毛を認めた.左卵巣は皮膚付属器を伴った扁平上皮ならびに線毛円柱上皮に覆われ,脳組織等を認めた.術後8日目の腫瘍マーカーはCA19-9:182U/ml CA125:223U/ml SCC:0.8ng/mlと低下を認めた.【結語】腫瘍マーカーの上昇を伴った巨大皮様嚢腫は数例報告されている.巨大卵巣腫瘍の鑑別の一つとして,稀ではあるが皮様嚢腫も念頭におく必要があると思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3)
302-302, 2006
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