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第112回学術集会(平成18年10月29日(日))

【一般演題】
手術その他
当科におけるラテックスアレルギー症例の検討


中村 優美, 村山 敬彦, 高井 泰, 臼井 真由美, 長井 智則, 赤堀 太一, 斎藤 正博, 末永 昭彦, 林 直樹, 関 博之, 馬場 一憲, 竹田 省
埼玉医科大学総合医療センター産婦人科


 【緒言】ラテックスアレルギーの報告が増加している,天然ゴムの成分であるラテックス蛋白が強い抗原性を示し,アナフィラキシーショックを呈することが多い.今回,我々は2例のラテックスアレルギー症例を経験したので,提示し考察する.【症例1】34歳,0回経妊0回経産,自然妊娠.妊娠初期より当科にて妊婦健診.妊娠経過に特に異常なく,ラテックス製品での診察にも異常を認めなかった.妊娠40週6日陣発入院.CTG上NRFS認め,鉗子分娩にて児を出産した.膣壁縫合中,アレルギー症状を認めたため,エピネフリン・ステロイドを投与し軽快した.ラテックスIgEは陽性であった.【症例2】27歳,0回経妊0回経産.卵巣癌の診断にて付属器切除+大網部分切除後,化学療法施行.術中,術後にラテックス製品に対してアレルギー症状を認めなかった.second look operation術中,血圧低下を認め,ラテックスアレルギーを疑い,手術器具のラテックスフリー化と抗ショック・抗アレルギー治療にて,手術は完遂し得たが気道浮腫が改善せずICU管理を必要とした.ラテックスIgEは陽性であった.【考察】2症例から,ラテックスアレルギーによるショックの予測は非常に難しいことが示された.ラテックスIgEの値は必ずしも症状とは相関せず,入院直前の問診だけで完全なスクリーニングをすることは困難である.通常の診察時には問題なくても,手術などの際にラテックス抗原が創部から侵入した場合,強いアレルギー症状を呈することがある.医療従事者や食物アレルギー既往歴などの問診の徹底と,医療器材のラテックスフリー化の促進,アナフィラキシーショック時の迅速なエピネフリン投与とショックに対する初期治療の習熟が重要であると考えられた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3) 303-303, 2006


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