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第112回学術集会(平成18年10月29日(日))
【一般演題】
手術その他 流産手術時の子宮穿孔3例―とくに腸管損傷の対応索について―
山本 範子, 長田 尚夫, 清水 八尋, 柿沼 敏行, 永石 匡司, 松浦 眞彦, 山本 樹生
日本大学医学部(駿河台日本大学病院)産婦人科
流産手術時の合併症として子宮穿孔がある.昨今の医療事故でも子宮穿孔による消化管穿孔による死亡例が報告されているように臓器損傷を見落とせば腹膜炎を併発し死に至る可能性がある. 我々は,流産手術に伴う子宮穿孔例を3例経験しているが,2例は子宮穿孔以外に副損傷を認めなかったが,1例に小腸損傷を認めている.本症例は,腹腔鏡検査では当初腸管損傷を認めなかったが,再検によって広範囲な漿膜損傷を認めたため小開腹術によって損傷腸管を切除し端々吻合術を施行,事なきを得ている. 子宮穿孔に対する対応として教科書的には,穿孔部位が小さければ安静と薬剤投与(子宮収縮剤,抗生剤,止血剤など)によって自然治癒するとされている. 子宮穿孔の問題点として1.穿孔に対する認識は術者によって格差が大きいことから実態の掌握が難しく,ときに術者による損傷程度の過少評価から腸管損傷への対策が遅れる可能性があること,2.腹腔鏡の普及に伴い腹腔鏡検査が容易に用いられるようになったが腹腔鏡は視野が広い反面,死角が存在する欠点があること,3.最近の傾向として腸管損傷を見落とせば,術者のみならず関係者までも責任を負わされる可能性が高いなどが挙げられる. よって後方病院としての子宮穿孔例に対するマニュアル作りが急がれる.子宮穿孔に対する腸管損傷の対応策として,1.子宮穿孔またはその疑いがある場合は,全例に腹腔鏡または小開腹術による検査を行う.2.検査は,他臓器損傷を前提において腹腔内の十分な検索を行い,さらに腸管損傷を認めない場合でも腹膜炎対策としてドレーンを留置することを原則とする.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3)
304-304, 2006
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