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第112回学術集会(平成18年10月29日(日))
【一般演題】
不妊 Laser zona thinning法を実施した凍結融解胚移植後に双胎妊娠が成立し,34週にて胎盤早期剥離となった一例
橋場 剛士, 仲村 勝, 吉田 宏之, 久慈 直昭, 吉村 泰典
慶應義塾大学医学部産婦人科
Recurrent IVF failure(RIF)例に対してlaser zona thinning(LZT)法を行うことにより着床率が向上することが報告されている.今回私たちは,RIF症例にIVFを行い,その凍結融解胚にLZT法を実施後胚移植し妊娠が成立したが,妊娠34週にて常位胎盤早期剥離のため緊急帝王切開を行った症例を経験したので報告する.[症例]30歳女性,1経妊0経産(28歳,右卵管峡部妊娠,開腹右卵管摘出術).不妊診断は,卵管不妊(右卵管摘出術後,卵管開口術後の左卵管留水症).左卵管開口術後の再閉塞に対する再手術を希望しなかったためIVFの適応とした.1,2回目のIVFでは,新鮮および融解胚ともに良好胚を含んでいたが,妊娠成立しなかった.着床環境改善のため腹腔鏡下左卵管摘出術を実施し,その後3回目のIVFを行い,良好胚を含む2段階胚移植を行ったが,妊娠成立しなかった.凍結保存胚を融解後,胚盤胞まで培養し,非接触型レーザーを用いてLZT法を実施し,2個胚移植したところ2絨毛膜性双胎妊娠が成立した.妊娠33週まで異常を認めなかったが,妊娠34週に常位胎盤早期剥離,前期破水のため緊急帝王切開を実施した.第一児は,女児,1868g,Apgar score 8-8点,羊水は血性,胎盤の1/5の剥離;第二児は,女児,1934g,Apgar score 5-8点,羊水は清,胎盤に異常を認めなかった.母児のその後の経過は良好であった.[結語]LZT法後の常位胎盤早期剥離例を報告した.当施設ではLZT法は,RIF例や高齢・卵巣予備の低下例に対して行っており,妊娠率は45%である.LZT法はその高い妊娠率のため現在広く実施されているが,周産期合併症,胎盤の異常に注意して観察する必要がある.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3)
305-305, 2006
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