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第112回学術集会(平成18年10月29日(日))
【一般演題】
不妊 2段階胚移植法で成立した2絨毛膜性双胎から得た1考察
中村 絵里, 鈴木 隆弘, 佐藤 茂, 呉屋 憲一, 塚田 ひとみ, 渡辺 未央, 松林 秀彦, 和泉 俊一郎, 三上 幹男
東海大学医学部専門診療学系産婦人科
2段階胚移植法は採卵2〜3日目に1または2個の分割期胚,5〜6日目に胚盤胞を1または2個(計2または3個)移植する方法で,1回目に移植された胚が子宮内膜の胚受容能を高め,2回目に移植される胚盤胞が着床しやすい環境をつくるという概念で普及してきた.しかし,2回の胚移植操作のため,子宮収縮,感染,胚の卵管への移動など1回目の移植胚に対する悪影響も指摘されている.1回目の移植胚が着床,発育したという証明は,複数個の胚を移植する前提のため,限られた妊娠例による.今回それが可能であった症例を経験した.【症例】39歳,原発性不妊,子宮内膜症III期(r-ASRM),人工授精反復不成功のため説明と同意により体外受精胚移植導入.これまで3回の単回胚移植による体外受精が不成功であった.今回,GnRHa-hMG-hCG刺激にて採卵2個,2個とも受精,3日目に8細胞期胚1個(grade 2:Veeck分類),5日目に胚盤胞1個(BL-4:Gardner分類)をそれぞれ移植(計2個)した.採卵24日目(5週3日)に超音波検査にて双胎妊娠成立(胎嚢2個)を確認した.妊娠6週3日に両心拍が認められ,その後の初期発育は順調であった.妊娠28週より切迫早産にて入院管理,33週5日で陣発(先進骨盤位)のため帝王切開術施行した.第1子1850g女児Apgar score 8/9,第2子2086g男児Apgar score 7/9であった.現在両児とも正常発育している.本症例は児の性別および妊娠初期診断とあわせて2卵性2絨毛膜双胎であることが確認された.つまり採卵3日目と5日目に移植した胚がいずれも着床,発育しており,2回目の胚移植操作が1回目の移植胚発育に悪影響をおよぼしていないことが実証された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3)
306-306, 2006
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