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第112回学術集会(平成18年10月29日(日))
【一般演題】
子宮体部悪性腫瘍1 子宮体癌の腟転移の1例
八鍬 恭子1), 森岡 幹1), 大久保 和俊1), 隅 靖浩1), 宮本 真豪1), 奥田 剛1), 柴田 哲生1), 長塚 正晃1), 木村 武彦1), 岡井 崇1), 九島 巳樹2)
昭和大学産婦人科1), 昭和大学病院病理科2)
子宮体癌の転移様式はリンパ行性と血行性が最も多く,子宮頸部を介した腟転移は極めて稀である.今回我々は子宮頸部組織に病理学的に浸潤を認めなかった子宮体癌の腟転移の1例を経験したので報告する.症例は58歳女性,0経妊,既往歴・合併症は特になし.平成16年頃より不正性器出血を認めていたが放置していた.平成18年3月に下腹部痛,5月には腟部の疼痛が出現したため,近医を受診.悪性を疑わせる腟腫瘍を認めたため,腟癌の疑いで当院紹介受診となった.初診時,腟入口部前壁に3cm大の易出血性腫瘤を認め,生検は低分化腺癌であった.超音波検査では子宮体部は超鵞卵大に腫大し腫瘍内部は不整であり,頸部は正常であった.子宮頸部と子宮内膜の細胞診はともにclassVで,子宮内膜組織診では腟腫瘍と同様の低分化腺癌であり,子宮体癌腟転移の診断で6月6日に腹式単純子宮全摘,両側付属器切除,骨盤・傍大動脈リンパ節廓清,腟前壁切除・尿道閉鎖・膀胱瘻造設を行った.術後診断は傍大動脈リンパ節に転移を認めstage IIIcのEndometrioid adenocarcinoma G3であったが頸部には浸潤を認めなかった.今後後療法として化学療法を行っていく予定である.本症例での腟転移は当初は子宮頸部の病変が認められなかったことより血行性転移を疑ったが,腟壁の腫瘍は外向性にポリープ状に増殖していたため,子宮体部から剥脱した腫瘍が腟壁に生着し増殖した例と考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3)
313-313, 2006
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