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第112回学術集会(平成18年10月29日(日))
【一般演題】
子宮体部悪性腫瘍2 子宮体癌と共存したポリープ状異型腺筋腫症例
菊池 芙美, 米山 剛一, 三浦 敦, 里見 操緒, 大内 望, 根岸 靖幸, 弘末 卓也, 市川 雅男, 土居 大祐, 竹下 俊行
日本医科大学産婦人科
ポリープ状異型腺筋腫は子宮腔内にポリープ状に発育する腫瘍で良性腫瘍に区分される.しかし,組織学的に異型を示す子宮内膜腺組織を呈するために子宮体癌との鑑別が問題となる.近年,経頸管的筋腫摘除術が積極的に施行され,ポリープ状異型腺筋腫が発見,診断される機会が増加している.さらに,ポリープ状異型腺筋腫のうち腺管密度が高く構造異型の強いものを低悪性度ポリープ状異型腺筋腫とする概念が確立している.この低悪性度症例に対する治療としては子宮摘出術や子宮温存例に対して高用量黄体ホルモン療法が推奨されている.今回,子宮内膜細胞診にてclass IIIを呈し,組織学的に低悪性度ポリープ状異型腺筋腫と複雑型子宮内膜異型増殖症の共存と診断された稀な症例を経験した.本症例を通じて学んだ細胞,組織学的経験および考察を呈示する.症例は42歳,1回経妊,1回経産で不正性器出血を主訴に近医を受診した.子宮内膜細胞診にてclass IIIを指摘され,当科へ紹介となった.子宮内膜全面掻爬にて低悪性度ポリープ状異型腺筋腫および複雑型子宮内膜異型増殖症の共存との病理組織診断であった.インフォームドコンセントのうえ某日,腹式単純子宮全摘術を施行した.摘出子宮の病理組織にても低悪性度ポリープ状異型腺筋腫がみられ,その基部に連続するように複雑型子宮内膜異型増殖症の共存が認められた.また,ポリープ状異型腺筋腫の組織診断ではCD10(内膜間質細胞の部分に陽性)およびα-SMA(平滑筋への分化の部分に陽性)に対する免疫染色が有用であった.今後,子宮内膜細胞診が陽性あるいは疑陽性の症例に遭遇した際に,ポリープ状異型腺筋腫も念頭に置くことが肝要と考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3)
314-314, 2006
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