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第112回学術集会(平成18年10月29日(日))
【一般演題】
子宮体部悪性腫瘍2 子宮腺筋症より発生したと考えられた子宮体癌の1例
水竹 佐知子, 中村 学, 斎藤 麻紀, 宮本 純孝, 富田 初男, 安藤 昭彦
さいたま赤十字病院産婦人科
子宮内膜症,特に卵巣子宮内膜症からの悪性腫瘍の発生が近年報告されているが,子宮腺筋症からの発生報告は少ない.今回我々は,子宮腺筋症より発生したと考えられた子宮内膜癌を経験したので報告する.症例は56歳の閉経後女性.年1回の子宮癌検診を受けていた.55歳時の検診でエコーにて子宮筋腫を指摘された.56歳時の検診で子宮筋腫の増大を認めたが,子宮頚部細胞診は異常なく,子宮内膜細胞診は内膜細胞が少なく判定不能であった.その後出血あり,再度内膜細胞診施行するも,内膜細胞少なく判定不能であった.エコーでは子宮内膜は薄く,子宮体部筋層後壁が肥厚し,粘膜下筋腫増大による出血もしくは肉腫等の悪性腫瘍を疑った.MRIを含め精査の予定であったが,急遽多量の出血があり,緊急に子宮全摘出術を施行した.摘出した子宮は内膜が平滑で,後壁から左側筋層内に80×70mm大の腫瘍が存在し,子宮内腔は伸展していた.筋層は消失し腫瘤に置換されていた.病理組織検査では,G2相当の管状ないし乳頭管状増殖を示す内膜腺癌の成分が主体であるが,腫瘍辺縁部では腺腔形成が不明瞭な充実性増殖を示すG3相当の成分も認められた.腫瘍は主として筋層内に発育しており,内膜内の癌病変は存在するがごく狭い範囲であり粘膜下から浸潤したように見えた.腫瘍の周囲,特に内膜側には子宮腺筋症の所見が散見され,外側(腫瘍側)から内膜側に向かって腺筋症内へ癌が伸展する所見が観察された.術後CT,PET検査にて左内腸骨リンパ節と傍大動脈リンパ節に転移を認め,再開腹での卵巣摘出,リンパ節郭清の必要性を話したが,リンパ節郭清の同意は得られず付属器切除のみ施行.術後TJ療法を施行中である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3)
315-315, 2006
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